田辺市議会 2013-09-13
平成25年 9月定例会(第2号 9月13日)
議会事務局長 山 本 幾 生
議会事務局次長 杉 若 美津子
議会事務局主任 前 溝 浩 志
議会事務局主査 松 本 美弥子
開 議
○議長(塚 寿雄君) 定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、平成25年第4回
田辺市議会定例会2日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
――
―――――――――――――――――
○議長(塚 寿雄君) 10番、安達幸治君から欠席の届け出があります。
◎諸般の報告
○議長(塚 寿雄君) この場合、事務局長をして諸般の報告をいたさせます。
議会事務局長、山本幾生君。
(
議会事務局長 山本幾生君 登壇)
○
議会事務局長(山本幾生君) 報告申し上げます。
本日付、田総第195の2をもって市長から本定例会の追加議案として、4定議案第18号
工事請負契約の締結についてなど、議案19件、及び参考資料の送付がありました。いずれもお手元に配付いたしております。
以上であります。
(
議会事務局長 山本幾生君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) それでは、日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(塚 寿雄君) 日程第1 一般質問を行います。
なお、一般質問の通告は、9月5日午後4時に締め切り、抽せんにより順位を決定いたしました。結果は、通知申し上げているとおりであります。
それでは、質問順位に従って一般質問を許可いたします。
20番、陸平輝昭君の登壇を許可いたします。
(20番 陸平輝昭君 登壇)
○20番(陸平輝昭君) おはようございます。20番議員のくまのクラブの陸平です。8年前に新しい田辺市が発足して、実は一般質問の通告をしてくじを引いたときに、まさか1番だという予想はせずに、くじの番号は2番だったのです。ところが1番くじが出なかったので、たまたま新田辺市のまず最初の一般質問に私が当たりました。そのときはいささかどきっとしたのをよく覚えております。今回3期目に入って初めて一般質問をさせていただくのですけれども、何とか1番が当たらないかなと言ってくじを引いたらものの見事に1番を引きました。そういうことでしばらくの間、おつき合いをいただきたいと思います。
今回、私は林業の問題についてと、合併当時持ち寄った
地域基盤整備基金の問題について2点にわたり、市の見解をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、1点目、低迷する林業対策について。林業の将来について木材需要の低迷が続き、林業の経営、また仕事に携わる作業員の減少等、今後の林業の先行きについて、全く先の見えない最悪の状況になってきています。
しかし、この田辺市域を占める山林は、大変な面積があります。今回私は、林業についてお伺いいたします。まず、林業の産業としてのことについてです。いろいろな要因があって、木材の需要低迷があると思いますが、田辺市管内の現在の木材の取扱量、また作業に携わる作業員の人数、製材所等の作業所の箇所数等林業に関する現在の状況を過去と比較した中でお伺いしたいと思います。
また、衰退してきた要因について、市はどのように認識をされておるのか、お伺いしたいと思います。田辺市として木材需要を維持するために、対応している施策について、県の情勢も踏まえてお聞きしたいと思います。
また、今後検討されている市の施策があれば教えていただきたいと思います。
次に、森林によって地域の環境や災害をもたらす影響についてお伺いしたいと思います。
さきに述べた林業の不況により山林の手入れ、特に間伐作業のおくれで、林内環境が悪くなり、当然保水力の低下、日当たりの悪さから下草が生息しないため、地力のなさから大雨による山崩れが頻発しています。この災害によって、何十年も苦労して育てた木も一瞬で瓦れきとなり、この瓦れきの除去に多くの費用を費やさなければなりません。これらの事案を長期的に解消できるとすれば、森林の伐採であろうと考えます。規模の大きい山林の経営者の方は計画的に事業を進めておられます。しかし、小規模の
山林所有者の皆さんの現状は、本当に扱いに苦慮しているのではないでしょうか。
立ち木を販売したくても、買ってくれる業者がない。費用の計算をすると、伐採して搬出しても場所によっては赤字になる。こんな状況では、農地に次いで山林の放棄も次々できるのではないか。これがまた災害を招く元凶をつくっているといっても過言ではありません。この山の状況の改善について、決して田辺市に何とかしろとは言えませんが、行政として、解消に向けた方向性なりを検討すべきではないかと考えます。
提案ですが、前回の一般質問でも松下議員からありました
木質バイオマス発電について私も検討できないか、今回たまたま日本経済新聞の切り抜きをもって、参考資料を添付しております。後でこれを見ながらもまた質問したいと思います。
エネルギー固定買取制度で、全国的に発電事業の計画がなされています。我々の地域はまさに木の国です。これに乗りおくれないためにも検討に入るべきではないか。森林関係についての質問といたします。
次に、2点目として、
地域基盤整備基金の運用についてお伺いいたします。
合併後はや8年が経過し、市長も新市の建設計画も10年の計画がおおよそ達成できたと説明をされています。この
新市建設計画は旧市町村の合併時に未完成の事業、または必要な新規事業を計画し、財源として特例債や
地域基盤整備基金を充当して進められました。その計画が、おおよそ達成されたということですが、各地域から持ち寄った
基盤整備基金について、現状と今後の扱いについてお聞きしたいと思います。
新市計画で、各地域の事業が完成し、市民の皆さんの生活がよくなったことは大変結構ですし、恐らく感謝をされていると思います。この基金については、合併前の各市町村が
行財政運営の結果として、積み立てていたものが原資であるが、非常に使い勝手が悪いといった指摘も行政局等で多く受けている中で、改めてこの
地域基盤整備基金の目的や現状、また今後の取り扱いについてお伺いいたします。
合併から8年、この間、また新しく事業の要請が各地区から出ていると思いますが、市は今後、地域からの要望に対して、この基金を継続して投入されるのかお伺いいたします。
また、この新市計画の実行について、各行政局に
地域審議会を設置し、市長からの諮問機関として大きな役割を果たしていただきました。審議会の今後のあり方についてどうされるのか。このことについても考えをお聞きしたいと思います。
これで1回目の質問といたします。答弁をよろしくお願いいたします。
(20番 陸平輝昭君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 20番、陸平輝昭君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 陸平議員御質問の1点目、低迷する林業の対策については私から、あとは担当部長からお答えをいたします。
まず、林業現場の現況についてですが、本市は市域の9割が森林で、県内の森林面積の4分の1を占めており、また、素材生産量は県内生産の約4割を占めております。この広大な山林を有する田辺市として、山村集落を守り、地域の活性化を図っていく上からも、林業、木材産業を
主要地場産業と位置づけ、この振興を図っていくことが重要であると認識しております。
昨今の林業の衰退につきましては、木材の輸入自由化に端を発し、
住宅建築様式の変化による
木材使用量の低下、さらには低価格の外国産材の製品が輸入されるようになったことなどにより、国産材の需要が年々低下し、木材価格の長期的な下落傾向が続いたことが衰退の原因と考えております。木材価格は昭和50年代中ごろから低下してきておりますが、さらに昨年木材需要に対する供給過多や円高に伴う
外材輸入増加等の影響から、特にヒノキの木材価格が県全体の平均単価では平成23年の1立米当たり1万6,219円から、平成25年では1万2,031円と急激に下落しており、林業経営は一段と厳しい状況となっております。このような状況の中、田辺市管内の共販所における
木材取り扱い量は、約7万立米で推移しておりますが、
林業従事者数は、当地域の
森林組合等において緑の雇用事業による
Iターン者等の雇用に積極的に取り組んだものの、平成2年当時の698人から平成22年国勢調査では、403人となっております。また、製材所等の事業所数も平成2年度の58から平成22年度では14と4分の1に減少しているなど、林業を取り巻く情勢は大変厳しいものがあり、
林業経営者や
森林組合等の
林業事業体の
コスト削減等による業績回復への努力も限界に近く、厳しい状況にあると認識しております。
こうした中、木材需要を維持するための施策としましては、平成22年度に策定された
公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、当市においても田辺市
木材利用方針を策定し、木造による
公共建築物の整備に向けた取り組みを進めております。
さらに、国においては、当該地域で流通する木材を活用した木造住宅の新築や内装・外装木質化などの改築、
木材製品等の購入を対象に、1ポイント1円で上限30万ポイントまで付与でき、商品券などと交換できる
木材利用ポイント制度も始まっております。また、和歌山県では、乾燥紀州材の生産体制の支援とその材を使用した良質な木造建築の促進を目的とした
紀州材需要創出事業により、
家づくり支援が行われております。
市におきましても、地域資源を積極的に活用するため、東陽中学校や
世界遺産熊野本宮館の木造、木質化を行うなど、公共施設の木造化に取り組んでいるところです。
本市では、木材生産の川上から川下までが市域に存在しており、県下の森林組合の中でも中心的な4つの森林組合を有するとともに、県内の木材市場4カ所のうち2カ所を
管内森林組合が経営するなど、木材の生産、流通、加工等の面において、恵まれた条件にあります。
こうした条件を生かし、地元材の製材品が市場に多く流通して、
木材利用促進が図られるためには、そのもととなる良質な原木をいかに安定して供給していくかが求められており、今後とも
各種補助等の活用を図り、積極的に林業、木材業の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、地域の環境や災害をもたらす影響についてでありますが、木材需要や価格が低迷し、採算が合わないといった林業を取り巻く厳しい状況は、
森林所有者の
林業経営意欲の減退をもたらし、間伐や伐採後の植栽、植林等の森林の手入れ不足につながり、結果として山林や山地の荒廃を招き、山村地域の集落環境の悪化や
産地災害誘発の危険性等が憂慮されております。
木材資源としての林業を維持管理していく上で最も大切なことは、植林から間伐等の保育を経て、伐採までの森林の
循環サイクルを途切れることなく継続していくことであります。この長期にわたる地道な作業を続けることが山を守り、育てる基本であり、林業振興を図ることが森林組合を初めとする地域雇用の拡大や地域の活性化、ひいては山村地域の環境や国土の保全につながるものであり、そのためにも総合的な支援が不可欠であると考えております。
市といたしましては、森林機能の維持及び
林業生産体制の確保を図るため、これまでも林道整備、作業道の開設・改良の助成、森林施業の機械化への支援のほか、
切り捨て間伐に対する国・県補助への
市単独補助金の上乗せ、再造林を支援する恵みのやま
づくり事業、尾根筋の広葉樹植栽を支援するよみがえりの
森づくり事業等の森林・
林業振興対策に取り組んできているところです。また、従来の木材需要だけではなく、新たな需要を生み出すための検討や取り組みも進めており、今後とも
森林所有者や経営者、
森林組合等と協力し、森林や自然環境の保全に努めてまいりたいと考えています。
次に、木材の活用という観点から見た
木質バイオマス発電の取り組みの必要性についてでありますが、
木質バイオマスエネルギーは、森林資源の有効活用や林業振興だけでなく、雇用創出など多くの効果が期待できることから、本市にとって有効な新エネルギーであり、これまでも熱利用に関しまして、温泉施設に加温用の
木質チップボイラーを導入してまいりました。
一方、発電施設の可能性につきましては、昨年度、先進事例である福島県の
株式会社グリーン発電会津について、さまざまな実情を伺う中で、導入についての検証を行ってまいりました。その結果、
電力買い取り制度に基づく採算性を確保するためには、発電量が5,000キロワット以上という大規模な施設が必要であり、そのためには、年間約6万トンの燃料用木材を安定的に供給する必要があることから、田辺市だけで賄えるものではないことが判明しております。
また、経済産業省における
調達価格等算定委員会において、安定的な発電事業が可能な原料の
木質チップの購入単価を設定し、それをもとに
固定買取価格を算出しておりますが、当地域は急峻な地形等の諸条件から、山林からの搬出経費が高くなり、試算による設定額を大きく上回るものと思われます。
こうしたことから、現時点での採算性の確保からの点からも具体化していくことは難しく、今後におきましては、
民間事業者を中心とした広域的な供給体制の確立等について、県等と連携を図りながら、研究・検討を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 企画部長、松川靖弘君。
(企画部長 松川靖弘君 登壇)
○企画部長(松川靖弘君) 議員御質問の2点目、
地域基盤整備基金の運用についてお答えいたします。
まず、
地域基盤整備基金の目的や基金の現状、今後の
取り扱い方針についてでありますが、当該基金につきましては、
市町村合併の際、新市で必要となる
財政調整基金等の原資を持ち寄った後の残額につきまして、合併までの各市町村における
行財政運営の結果として尊重し、それぞれの地域における
基盤整備事業等に充当するために設置したものでございます。
また、基金の現状についてでありますが、
市町村合併後からこれまで各種の基盤整備に係る事業に対して、当該基金を取り崩してきた結果、平成24年度末時点におきまして、約7億4,500万円の基金残高となる見込みとなっております。
なお、今後の基金の
取り扱い方針につきましては、基金と同じく
市町村合併時に設置している
地域審議会におきまして、市長からの諮問事項として、
地域基盤整備基金の活用に関することが所掌事務とされている中で、少なくとも
地域審議会の設置期限である平成27年3月31日までは、
地域基盤整備基金として存続し、その活用に妥当性がある事業につきましては、基金の活用を検討してまいりたいと考えております。
また、
地域審議会の設置期限後における基金の取り扱いにつきましては、現在、庁内において検討を進めているところであり、今後、議会を初め、
地域審議会にもお諮りしながら、その方向性を見出してまいりたいと考えております。
続きまして、今後の
地域審議会のあり方についてでありますが、まず、
地域審議会制度につきましては、合併によって市町村の区域が広がることで、住民と行政の距離が遠くなり、住民の意見が
合併市町村の施策に反映されにくくなるとの懸念が合併推進の障害となっていることに対応して、
合併市町村の施策全般に関し、きめ細かに住民の意見を反映していくことができるよう、当時の合併特例法により設置が可能となったものであり、本市におきましては、合併協議の際に確認いたしました
地域審議会の設置に関する協議書に基づきまして、設置しているものでございます。
また、
地域審議会の設置期間につきましては、
地域審議会の設置に関する協議書により、合併の日から平成22年3月31日までとする。ただし、5年を限度として、これを延長することができると規定されている中で、平成21年度に設置期間を5年間延長した結果、先ほども申し上げましたとおり、平成27年3月31日がその設置期限となっております。
こうした中、今後の
地域審議会のあり方につきましては、
地域審議会制度の趣旨やこれまでの経緯等を踏まえる中で、協議書に定める設置期限が一つの区切りになるものと考えておりますが、全体的なあり方につきましては、今後も引き続き庁内で検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(企画部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 陸平輝昭君。
(20番 陸平輝昭君 登壇)
○20番(陸平輝昭君) 答弁いただきました。
まず、森林のことについてですけれども、今、まず林業に対する現状等について市長からお答えいただきました。まさに市なり県が取り組んでくれている事業、このことについては、やはりそれぞれの森林組合、特にこの間伐の市の上乗せ補助等、これについては大変感謝をしていただいております。これが行政の田辺市として今できる最高のことかなという感じがします。
ただ、やはり答弁いただいた中で、林業の状況ということになると、いわゆる建築材を主とした現在の林業の動き、私はこの先行きが見えてきているのではないかと感じるのです。というのは、市長も御存じだと思います。木を植えて、昔のいわゆる地上権の権利を取得して、この契約書を作成するときに、戦後、私も昭和26年生まれなので、戦後すぐのことはわかりませんけれども、大体自分が成人したころに記憶があるのは、契約書は、木1代もしくは50年という地上権設定、これというのは、当時はいわゆる35年から40年でもうスギ、ヒノキの伐採ができる。長くても50年たっておれば、その間に処理ができる。だからある程度回転してきた。
ところが、私、富里ですけれども、私の地域でもそういう地上権の山、もう50年を過ぎて、65~66年になる山、これを地権者として切ってほしいという話をしても、先ほど申し上げたように、とにかく伐採して搬出しても採算が合わないので、待ってほしいという。その木でも67年ぐらい経過している。大体の山を見る限り、40年ぐらいの限度の木が2倍の年数がたって現在生育していっているのではないか。この環境ということについてお伺いしたのは、その点、この木がどこまで成長したときに、この土地とのバランス、いわゆる災害を起こす分岐点というか、これは普通に考えても頭でっかちになってくる理屈だと思うのです。土地で根っこを張って、これが間伐もそうです。この事業がおくれるために、木は根を横に張っていけない。けど上へは伸びていく。当然、このアンバランスがちょっとした台風であるとか、大雨のときに山崩れを起こす、この原因があるのではないか。それがこの言い方は悪いですけれども、谷の奥とか、民家、道路に関係ないところであれば、時間をかけて修復等を考えてもらったらいいのですけれども、この我々生活圏の道路沿い、もちろん道路沿いも山林ばかりなので、この関係であるとか、家の裏山、集落の裏山等々、もう既に裏の木が大きくなり過ぎてもったいないと言いながらも40年の木を伐採して、ただもう日当たりをよくするために、裏山を切って倒し込む。これも極端に言えば切り捨てになるのかと思うのですが。
そういう状態の山林が、今大変ふえてきています。こういったように林業の先行き、これはますますひどくなってくる。目に見えて田んぼであれば放棄してあるので、草が大きくなるという目に見えた状態になりますけれども、林業を放棄といっても、どういう現象になるのか。かずらが巻いても切りにいかない。間伐も行かない。このことで、表立って目には見えなくても、林内環境はかなり悪くなってくる。これが現実になると思うのです。このことをまず何とか木の伐採ということを長期的に考えて対応していかなければならないと思うのですけれども、そうだと言って切って、先ほどから説明がありますように、建築材では当然利用の量が限られてきている。ましてや答弁にもありますけれども、最近の建築様式から見て、100年の木を切って出しても、材を包んでしまうのであれば、何ら100年たった値打ちが出てこない。それは大工さんなり、施主さんによっては、そういう木を使う人もあるでしょうけれども、市の方向としても、公共物に使うという、この程度の量では我々の在する田辺市管内の木、これは田辺市だけではない。紀南の木を考えたときに、どうはかすかという大きな問題になると思うのです。やはりそのときに、この後段お聞きした木質バイオマス、これは市長の答弁、前回、松下議員の答弁にもやっぱりなかなかコストの問題で難しいという答弁があったのですけれども、年間6万トンの供給が難しい。
田辺市の面積1,026平方キロの90%が山林という地理的な状況が出ている、その900町歩の木、これが年間6万トンの処理で追いつかないという、この辺、もっと私自身も研究をしないとどうもこの答弁の部分がすっきりとしないのです。6万トン、森林局に聞くと、単純計算で8トン車のトラック750台が6万トンですという回答なんです。
ただ、8トンの車へ積んだ木というのは、もう完全に製品になるいい木ばかりなので、それ以外の山へほかしてくる木、これはチップ材として現在出ていますけれども、そういうことも含めたら、どうも5,000キロの発電をするのに6万トンの木材供給が安定的に田辺市は賄えないという答弁をいただいたので、このことについて、詳細というか、どういう感覚で全体の量から賄えないのか、もし答弁できれば再質問としたいのです。
それと市長、今スギ、ヒノキという人工林の話ばかりしていますけれども、この旧田辺市にでも民家の裏山にいわゆる雑木林、これが特にシイノキとか、クスノキ、これがもう30年も40年もたってきたら、これも恐らく災害を起こす元凶になると思うのです。だから、森林の問題、木の利用ということの質問もしながら、やはり今後起きるであろう災害対策として、近隣の木の除去ということを考えていってもらわないと、恐らくどこやかしこで山崩れだとか、家の後ろへの倒木が発生しやすくなる状況、環境にあることからこれからの山の管理が課題ではないかと思うのです。
そのこともあって、木をチップ材として使って、ふつうに考えたら山のこれだけ育てた木をチップにして、まきのかわりにするという、この発想は大変今まで木を育てた人には納得できないことかもしれませんけれども、今の森林の木の量の様子を見て、何とかこれを災害防止等に考えていくとなったら、そういった方向ででもこの木の処理ということをできるところから考えていかないと、本当に大変な時代が来るのではないかと考えます。
この発電については、先ほど参考資料を皆さんに配っておりますけれども、この発電計画がこれも13カ所出て、既に稼働しているところもありますし、グリーン発電という5,000キロ程度の発電でしている大分県日田市のグリーン発電があります。ここも我々の地元からも何度か林業について、先進地視察に行った林業のまちなんです。このまちはやはり建築材が無理と見てこうしているのではないと思いますけれども、やはり方向性をかえているという、この施設も一回勉強して、こういった先進地が発電のほうへ切りかえるという、私自身も勉強したいと思います。
それから、先ほどから述べたことで結局、いろんなバイオマス発電についての問題点、この参考資料にもかなり出ています。いわゆる木材のコストであるとか、供給について厳しいということもありますけれども、だからといって今、田辺市の木材をこのままにしていいのか。先のことを考えたときに、やはり木の利用ということを考えたら、私、今
木質チップで、燃料にするということが一番手っ取り早いのではないかという、だから
木質バイオマス発電についてもう少し研究を深めていただきたい。答弁いただいたように、県なり事業者とも検討していただいて、極力、この木の伐採について進められるような方向を考えていただきたいと思います。
このことについては、私もこれからまたいろんな視察もさせていただいて、また次の機会にも質問したいと思います。まずは5,000キロの発電に6万トンの木の供給が田辺市で難しい。このことについてもそれをきっちり説明しろとは言いません。おおよそ検討はつくので。それについて答弁いただきたいと思います。
それから2点目の基金の問題です。
今、1回目の質問では、一応状況の説明をいただきました。私は、各行政局からの要請について、なかなか冒頭申し上げたように使い勝手が悪いという行政局の話をよく聞いているのですけれども、この2点目で、質問としてではないのです。本宮地域の災害後の対策として、私も前回産業建設委員長の立場で、河床整備等については市も県もだんだんとやってくれて、一応一通りの成果は出たと思います。ところがもう一点のJパワーに対してのダムの操作規程の問題がありましたけど、このことはなかなか我々の範疇でできるようなことではないと思います。
ところが、そのときに、もしああいう水害が起こったときの伝達方法、これは現在、防災行政無線で知らしめているということですけれども、当然、大雨であるとか、台風等の風で防災行政無線で幾ら非常事態を伝えても、なかなか家の中にいる人には届かない。このことが大きな災害を招くもとだと思うのです。そのことについて、本宮行政局、住民の皆さんも個別受信ということを大変希望されて、要請されてきていると思います。その中に、いわゆる基金を持っていて今まだ残高が残っているのだから、その基金を使ってやってくれという地域の人の要請が大きいのですけれども、私は別に基金を使おうが市の財源でやってくれようが、それは構わないですが、やはり防災対策として、今の日本中の水害を見ている限り、いつ前回の水害が起こらないとも限りません。このときに、命を守る行動をとってくださいという気象庁の伝達をテレビでやっていますけれども、それが各家庭に届かなかったら、その危険地帯の人の命を救うことができない。やはりこれには希望される個別受信の設置ということについて、本宮町の人は基金が残っているのだから使ってほしいという要請がある。私は市に別に基金を使ってでもやってほしい。もし防災の情報通信のほうの資金でできるのであれば、やはりそういう地域の要望というものを確実に吸い上げてほしい。
これは緊急性を要することだと思うので、検討を基金の問題の中で、これは最後お願いをしておくのです。今、恐らくいろんな要請が来ていると思うのですけれども、やはりこのことについての検討をしていただかないと、今後もし今のような各地で起こる水害、我々が経験したあの水害、これが2回目起こって何の対応もしていなかったということは、これは2回目には恐らく人災だと言われる結果になるのだと思います。
その点について、この基金という質問から本宮のことについての要請、これを聞いてみます限り、一番大きい行政局管内の要望ではないかということがあったので、あえてこの質問の中で、お願いをしておきたいと思うのです。
一点、林業の問題のことについての答弁、簡単でいいのでいただければと思います。
(20番 陸平輝昭君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 陸平輝昭君の再質問に対する当局の答弁を求めます。
森林局長、寺本雅信君。
(森林局長 寺本雅信君 登壇)
○森林局長(寺本雅信君) 陸平議員の
木質バイオマス発電の取り組みの必要性についての再質問にお答えします。
議員御提案の
木質バイオマス発電につきましては、地球温暖化防止の効果はもとより、林地残材等の未利用材の活用による林業振興、あるいは雇用創出による山村振興など、多くの効果が期待できますことから、地域に立地することとなりますと、非常に有効な林業施策であると考えております。
しかしながら、田辺市管内における平成24年度の間伐材の素材換算材積は、林地残材を含めまして、約2万トンしかなく、年間6万トンの燃料用木材を安定的に供給するためには、低コストである建築廃材や大規模製材工場等で排出された端材なども利用しなければなりませんが、それ以外に議員のおっしゃるように、伐採量をふやして確保することになります。
一方、
木質バイオマス発電のために山林の伐採を促進するには、既存の木材産業の需要や供給体制に影響を及ぼさないという前提で、なおかつ長期的で安定した供給を確保する必要があります。また、
木質チップの原料として搬出経費を抑える必要があります反面、木材生産の川上から川下までの各段階での収益も確保することが必要で、大きな課題であると考えております。
なお、今後におきましては、県や森林組合、
民間事業者とも連携を図りながら、広域的な燃料供給体制等について、先進地の事例なども検証し、引き続き、研究・検討が必要と考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(森林局長 寺本雅信君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 陸平輝昭君。
(20番 陸平輝昭君 登壇)
○20番(陸平輝昭君) 時間が迫ったので、この林業について、今土木業界は国体であり、高速道路であり、平成27年までは御承知のとおり目いっぱい仕事があって、ところが平成27年から向こうにほとんど仕事が切れてくるのではないかという懸念もされています。
この林業という部門についての雇用対策としても大きな要素を持ちます。やはりそんなことも含めて、現状の作業員では材をふやすということは無理でも、やはり雇用の場の創出ということで、企業誘致を考えるよりは自分のところで、こういう事業をして、その林業に対する雇用をこれで対応できれば、いろんな意味で我々、田辺市域が元気になるのではないかと考えますので、このことについては決して、今回では終わりません。いろいろ私も勉強もして、林業のことももっと詳しく調べて、また再度、こうした質問をさせてもらうことになると思います。市としても、極力これで返事したから一旦、ここで終わりだというようなことではなしに答弁いただいたように、何とかいろんな意味の振興ということで、検討をよろしくお願いします。
後になりますけれども、本宮町の個別受信については、これは全く声を大にしてお願いしたいと思いますので、このことについてもよろしくお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
(20番 陸平輝昭君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、20番、陸平輝昭君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(塚 寿雄君) この場合、午前11時まで休憩いたします。
(午前10時45分)
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―――――――――――――――――
再 開
○議長(塚 寿雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前11時00分)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、11番、安達克典君の登壇を許可いたします。
(11番 安達克典君 登壇)
○11番(安達克典君) 11番、紀新会、安達克典です。通告に従いまして一般質問をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、防災・減災に関する市の取り組みについてであります。
平成23年9月の台風12号による豪雨災害から2年が経過いたしました。当地方を襲った台風12号による甚大な被害は、昭和28年の大水害以来ともいえる大災害となりました。当時を振り返りますと、台風12号が接近した夜、まず初めにテレビが映らなくなりました。このとき既に、7月の台風6号により、県道田辺龍神線虎ヶ峰は通行どめとなっていました。さらに、高野龍神スカイライン国道371号線も通行どめとなっていました。ひたすら降り続く豪雨の中、行政局の防災無線から県道龍神中辺路線水上に加え、国道425号柳瀬地内でも通行どめが相次いで放送されました。いよいよ龍神地域が孤立状態となったなと思いました。そして、間もなく携帯電話が不通となり、そしていよいよ停電となりあかりも消えてしまいました。
夜が明けると同時に、家の前を流れる丹生ノ川の水位の上昇を見て今まで経験したことのない恐怖を感じました。護岸は流され、隣の1段目の田んぼの稲を飲み込み、流木がひっかかっている状態でした。
道路はといいますと、自宅から2キロ上流で、谷が氾濫し県道がストップしていました。近くの住民たちは、ただ立ち尽くし、茫然とその状況を見ているほかありませんでした。それからUターンをし、東へ、また西へと下っていきました。丹生神社の境内にも濁流が上がり、周辺の田んぼも飲み込んでいました。それから、日高川を上り、宮代まで行くと、国道371号線にも水位が達していました。
そのような状況の中で、次々と被害が明らかになってきました。特に、三ツ又地区の大崩壊では、3世帯の家、また納屋、畑、お墓、全て集落ごと土石流に飲み込まれていました。また、三ツ又口付近にある口合わせ堰堤は崩壊し、たまっていた土砂が流れ、上流付近の県道の擁壁がばたばたと倒れるなど、集中豪雨がどれだけすごかったのかを物語っていました。
この災害を振り返ってみてわかるように、いかに道路が必要か、また1路線ではなく複数の路線、迂回路の重要性をこれほど強く感じたことはありませんでした。その縦の線、横の線、つまりあみだくじのような道と道をつなぐ道路も必要であると痛感いたしました。
あれから2年が経過する中で、市内全体での復旧状況はどうなっているのか。各施設における進捗率について、また、復旧が完了していない箇所については、今後の見通しについてお伺いいたします。
2点目につきましては、観光施設の状況についてであります。
熊野地域のビジターセンターである
世界遺産熊野本宮館においては、北棟と南棟が熊野川の氾濫で傾いた状態となりました。
この熊野本宮館では、世界遺産の情報発信拠点として、総事業費約8億円で建設したもので、2009年の7月3日にオープンし、紀州材、特にスギを多く使用し、県世界遺産センターや熊野本宮観光協会の事務局が入っていました。さまざまな展示や講演などが催され、入館者は30万人を達成したばかりでした。約1.5メートルまで浸水し、南棟は南側が、北棟は東側がいずれも最大40センチ浮き上がって傾いた状態となっていました。
その後、4億円近い費用をかけて復旧工事が行われ、平成25年の1月1日に再開していますが、世界遺産熊野を訪れる観光客の状況について、さらに、市内全域での状況はどうなっているのかをお聞きいたします。当初、各メディアでは、大々的に被害の状況が伝えられる一方、復旧し、再開についてはその内容が一般の方々へはなかなか認知されていない状況が続いていると思われます。現在の市内全域での状況と今後の展開についてお聞きします。
3点目は、木造仮設住宅についてであります。
12号台風以後、今も県内では、39人が応急仮設住宅で生活をされています。建築基準法では、設置期間は最長2年3カ月とされていますが、土砂災害復旧工事が完了していない伏菟野地区においては、入居期限が来年度末まで延長されました。
この夏の猛暑に加え、冬場の冷え込みが体調を崩す大きな要因になると考えます。そこで、平成24年の3月議会において、質問をした木造仮設住宅についてであります。当時、総務企画委員会において、東北各県の被害状況と復興状況を視察する中で、岩手県の住田町の事例を挙げて田辺市においても取り組めないかとお聞きしたところ、市長からは木造仮設住宅につきましては、設計、経費、加工仕様、部材保管場所等の検討すべき課題はありますが、木材が有する優しい質感により被災された入居者の方々に少しでも安らぎを感じていただける効果も期待され、また、地元産材の需要拡大にも有効と考えられます。東日本大震災の被災地や台風12号災害で被災した奈良県十津川村、野迫川村においても、地元産材を使用した建設事例がございますので、本市においても木造仮設住宅について、県と連携し、設計事務所、建設業者、木材加工業者、
森林組合等関係者と協議を重ねながら研究してまいりたいと考えますと御答弁をいただきました。
寺本森林局長も新たに就任され、新しい体制での林業行政が進められていると思われますが、その後の展開についてお聞きします。
続きまして、消防力の強化についてであります。先日、9月2日、首相官邸におきまして、平成25年度防災功労者内閣総理大臣表彰(消防関係)の表彰式が行われました。
防災功労者内閣総理大臣表彰は、9月1日を防災の日とし、政府、地方公共団体等関係諸機関を初め、広く国民が台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波等の災害についての認識を深めるとともに、これに対する備えを充実強化することにより、災害の未然防止と被害の軽減に資するという趣旨に基づき、表彰が行われています。
本年は、災害現場での顕著な防災活動の中で、平成23年台風12号における消防団の災害出動として、田辺市消防団が総理大臣表彰を受賞いたしました。大変喜ばしいと同時に、今後の団員の活動に大きな励みとなることと確信しております。
さて、ことしの猛暑は、全国各地で、記録的な高温を観測しており、さらに晴れの日が多く、乾燥した状況が長く続いておりました。そんな中、去る8月3日午後3時15分、龍神村柳瀬地内、林道虎ヶ峰坂泰線において山林火災が発生しました。
消防車両19台、約140人が消火活動に当たり、約3時間後に鎮火しました。下草、倒木等約1ヘクタールが焼けました。私も団員として、現場に到着すると同時に、とびを持って林道から山に上がりました。とにかく山の頂上付近なので水は全くなく、等間隔に並び、ひたすら山肌をたたいて消火するという原始的な林野火災の消火が続きました。しばらくすると、ヘリコプターによる上空からの消火も始まりました。当日は運悪く、和歌山県の防災ヘリは年一度の耐空検査で、かわりのヘリコプターは水を搭載できないということで、上空からの火災状況を調査し、奈良県の防災ヘリコプターが龍神ドームの前の広場から水を搭載し、日没が迫る中、計8回の放水が行われました。
しかしながら、厳しい状況が続きました。並行して中辺路、大塔の水槽車が柳瀬地内の消火栓からピストン輸送をしてくれました。これにより、あたりは暗くなりましたが、鎮火となりました。改めて、林野火災における水槽車の威力を見せつけられました。今回の林野火災では、けが人は出ませんでしたが、過去の龍神地域における林野火災を見ていますと、平成2年の小家・梅団地では、20ヘクタールの面積が焼損すると同時に、1名の方がお亡くなりになっています
その後も平成8年まで毎年続き、特に平成7年には、3件が発生し、死傷者も出ています。その後、平成15年まで発生していませんが、合併後、平成19年、20年、21年と続き、昨年度も1件発生しております。
こうしてみますと、龍神地域においても初期消火の観点から、水槽車の配備が必要と考えられます。今後の課題と対策について、当局の考えをお聞きします。
さらに加えて、先日、すさみ町江住で、畑で木の枝を焼却中、下草が燃え広がる火事が発生しました。機転をきかした建設業者が消防車が到着する前に、工事現場にあった散水車を使って放水し、民家への延焼を食いとめたようであります。
この業者の名前がいいですね。吉田組といいます。ダンプで通りかかった吉田組の専務が、高速道路の現場にあった鹿島の散水車に依頼し、その後、大成建設の散水車も応援にかけつけて、約15分で各4トンの水で消火したようであります。
この瞬時の判断がなければ民家はもちろんのこと、山林にも延焼したことであろうということでした。龍神地内においても、平成7年の立花川付近の林野火災時には、共栄生コンによるピストン輸送がなされたと聞いています。
現段階での民間各種団体との防災協定の現状はどうなっているのか、また、消防独自での配備も必要ですが、火災に限らず、災害に備え、民間各種団体との防災協定を更新し、最大限の備えをいま一度見直す必要があると考えますが、当局の考え方についてお聞きします。
次に、11月5日の津波防災の日の取り組みについてであります。
安政元年11月5日の夜、安政南海地震の津波が広村、現在の広川町に襲来し、その後、浜口梧陵は自身の田んぼにあったわらの山に火をつけて、安全な高台にある広八幡神社への避難路を示す明かりとし、速やかに村人を誘導し、結果として村人の9割以上を救ったと記されています。津波から命を救えるかは、情報の伝達の速さがかかわっているという教訓を残しました。これをもとにつくられた物語が「稲むらの火」であります。
この災害の後、浜口梧陵は破損した橋を修理するなど復旧に努めたほか、当時では最大級の堤防・広村堤防を約4年かけて完成させました。この土木工事は、荒廃した被災地から住民の離散を防ぐ意味を持つとともに、将来再び襲来するであろう津波に備えての防災事業でもありました。
広村の復興と防災に投じた4,665両という膨大な費用は全て浜口梧陵が私財を投じたものであります。沿岸部に住んでいなくても、仕事や旅行などで沿岸部にいて津波に遭遇するかもしれません。これを機会に、改めて各家庭や地域で津波防災について再確認する大切な日でもあります。
ことしの11月5日、田辺市ではどのような取り組みがなされるのかお聞きします。さらに、現在田辺市においては、群馬大学の片田教授を迎え、地域を担う人材を育てるというテーマの中で、防災教育のあり方について助言をいただいていると思います。先日、和歌山放送にも出演され、このことについてお話をされていましたが、市長の言われる防災教育の再構築について、また、いざというときのための共助のシステムづくりについてが大切であるとも言われておりました。社会の最小単位の家族で考える避難場所等の話し合いから発展し、それにより地域のコミュニケーションが広がると考えられますが、11月5日の津波防災の日の答弁と重なる点もあるかと思いますが、当局のお考えをお聞きいたします。
○議長(塚 寿雄君) 11番、安達克典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 安達議員御質問の防災、減災に関する市の取り組みについてのうち、一番目の台風12号災害から2年が経過した現況については私から、あとは担当部長からお答えいたします。
市では、台風12号による被災直後から早急な復旧に向け、国による災害査定などの所要の手続を経て、順次災害復旧工事に取り組んできたところでございますが、市の土木、農業、林業関係の公共施設のうち、国庫負担の対象となる箇所について、平成25年8月末時点での復旧状況を申し上げます。
まず、公共土木施設では、被災125カ所のうち、111カ所の復旧工事が完了し、進捗率としましては、約89%となっております。その内訳としましては、道路災害が106カ所でそのうち94カ所の復旧が完了し、進捗率は89%となっております。
次に、河川災害は11カ所で、全ての箇所の復旧が完了しております。また、橋梁災害は8カ所で、そのうち6カ所の復旧が完了し、進捗率は75%となっております。
公共土木施設のうち、復旧が未完了となっている箇所数は14カ所でございますが、これらの箇所は、地すべりが発生した箇所や大規模な山腹崩壊により土石流が発生した箇所などでございます。
いずれも大規模な被災箇所であることから、長期間の工期が必要となるとともに、本宮町三越奥番地区及び熊野地区の被災箇所では、国土交通省の緊急砂防事業との施工調整に時間を要したため、復旧工事の完了とは至っていない状況でございます。
続きまして、農地及び農業用施設の復旧状況ですが、被災133カ所のうち127カ所の復旧工事が完了し、進捗率としましては、96%となっております。その内訳としましては、農地災害は51カ所で、全ての箇所の復旧が完了しております。
また、農道、水路及び頭首工等の農業用施設災害は82カ所で、そのうち76カ所の復旧が完了し、進捗率は93%となっており、未完了の箇所数は6カ所でございます。
次に、林道の復旧状況につきましては、被災116カ所のうち、完了箇所は110カ所で、進捗率としましては、95%であります。未完了の箇所数は6カ所でございますが、これらの箇所は大規模な崩壊が発生した箇所でありますので、復旧まで時間を要している状況でございます。
市としましては、引き続き、残る被災箇所の早期復旧に努めてまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
次に、議員御質問の2点目、観光の状況でございますが、平成23年の台風12号災害では、
世界遺産熊野本宮館を初め、熊野古道や観光関連施設の被災や道路の寸断など甚大な被害を受けました。被災復興には多くの市民、ボランティアの皆さんの御支援を頂戴するとともに、熊野古道につきましては、多くの方々に道普請に御参加いただき、修復活動を行ってまいりました。
観光客数につきましては、道路等インフラの被害に加え、風評被害等により観光客数が激減したため、台風12号被災復興観光キャンペーンとして、風評被害の払拭と道路状況等の復旧をアピールするPRを初め、宿泊の動機づけを行うため、市内に宿泊された方を対象にした市内特産品等のプレゼント事業や京阪神からの誘客促進を図るため、大阪からの無料バスで市内観光地をめぐるツアーを実施するなど、観光客の回復に全力で取り組んでまいりました。
こうした取り組みの結果、田辺市の観光客数は災害が発生した平成23年の227万8,000人に対しまして、翌年の平成24年は332万5,000人と104万7,000人の増加となっていますが、被災前の平成22年と比較しますと、18万9,000人の減少となり、まだ完全に被災前の数値には戻っておりません。
しかし、本年5月のゴールデンウイーク期間中の本宮及び龍神地域の観光客数は、被災前と比べ6,000人の増加となっており、回復の兆しが見られています。今後の観光誘客に関しましては、本年度から平成27年度まで和歌山県を初め、田辺市の観光振興の契機となる大型事業が続きます。来年度は世界遺産登録10周年、再来年は高野山開創1200年大法会、紀の国わかやま国体と観光にとって起爆剤と言える年を迎えます。
田辺市では、これらの大型周年事業が行われる期間をゴールデンイヤーと位置づけ、田辺市熊野ツーリズムビューロー、各観光協会、西日本旅客鉄道等で組織する田辺市ゴールデンイヤー事業実行委員会を本年7月に設立し、本市の豊富な観光資源を磨き上げるとともに、和歌山県と連携し、広く全国にPRすることにより観光客の誘致に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
続いて、御質問の3点目、木造仮設住宅についてお答えします。台風12号により被災した伏菟野地区には、県がプレハブ形式の応急仮設住宅を6戸建設し、現在2戸2世帯8名の方々が引き続き生活されております。このような中、木造応急仮設住宅に関しましては、現在、和歌山県建築士会、和歌山県木材協同組合連合会、和歌山県森林組合連合会などで組織する和歌山県木造住宅生産体制強化推進協議会が、和歌山県と応急仮設住宅の標準設計、供給体制、供給量、費用、工期などについて検討を行っております。
市としましては、木材が有する質感が安らぎをもたらす効果もあり、また、地元産材の需要拡大にも有効と考えられますので、引き続き県等関係機関との連携を図りながら、木造応急仮設住宅の研究を行ってまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、市といたしましては、一日も早い本格的な復旧、復興に向け、国・県等関係機関連携のもと、一丸となって全力で取り組みを進めているところでございますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 消防長、小山裕史君。
(消防長 小山裕史君 登壇)
○消防長(小山裕史君) 私からは、議員御質問の2点目の消防力の強化についてと3点目の防災協定の現況とさらなる更新についてお答えいたします。
まず、2点目の消防力の強化についてですが、議員御指摘のとおり、林野火災においては地上部隊の消火水の確保が重要であり、水槽車の配備は有効であると考えております。現在、水槽車は、田辺支団、龍神支団、本宮支団には配備しておりませんが、中辺路支団に2台、大塔支団に3台の合計5台を配備しており、消火水の確保が困難な場所で火災が発生した際は、これらの車両を田辺市全域で有効活用する計画としております。
龍神地区については、初期消火体制の強化を図るため、下山路分団へ新たに軽四積載車を配備するとともに、他の分団へも軽四積載車の増強を検討中であり、さらに少ない水を有効活用できるよう、龍神出張所に配備するポンプ車は圧縮空気泡消火装置を装備する計画であります。この装置を用いた泡放水は水の約17倍の消火効果を有しており、積載している600リットルの水で1万リットルの水と同程度の消火効果が得られます。
次に、3点目の防災協定の現況とさらなる更新についてですが、現在、防災対策課が中止となって各種団体と51の災害時の応援協定を締結しております。これらの協定は、消防活動においても使用可能となっておりまして、例えば建設業や土木業、また石油業といった業界からの応援を受けることができます。
議員御指摘のとおり、消火水の確保のため、新たな業界との協定締結も念頭に置いて、今後、防災対策課と協議を行い、応援協定の充実を進めてまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
(消防長 小山裕史君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 総務部長、中瀬政男君。
(総務部長 中瀬政男君 登壇)
○総務部長(中瀬政男君) 議員御質問の4点目、11月5日の津波防災の日の取り組みについてお答えいたします。
東日本大震災を教訓として、平成23年6月に津波対策の推進に関する法律が施行され、その中で安政南海地震の際の稲むらの火の逸話にちなみ、11月5日が津波防災の日と定められました。
そうした中、田辺市では、ことしの11月5日に群馬大学大学院片田教授を招聘し、津波防災シンポジウムを開催する運びとなってございます。内容につきましては、2部構成となっており、一部は小・中学生及び地域から防災活動の取り組み発表が4件ございます。その後、第2部は、一般を対象とするシンポジウムを予定しています。パネラーは市長を初め、保護者代表、地域代表、田辺市防災教育担当者会会長の4名で実施し、片田教授にはアドバイザーとして参加していただく予定であり、本シンポジウムを通して、児童生徒を初めとした市民の防災意識の高揚を図ってまいりたいと考えております。
次に、防災教育についてでございますが、本年度から片田教授に指導いただきながら、田辺市の防災教育の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。具体的には、小・中学校各校1名ずつ防災教育担当者を設置し、沿岸から山間部まで、津波、水害、土砂災害の3つのパターンを想定した組織をつくるなど、地域の実情に即した実践的な防災教育の取り組みを図ってまいりたいと考えております。
本年度は、こうしたことに加え、各学校間の防災教育の交流を予定しているほか、それらを踏まえ、地域の実情に即した防災教育のカリキュラムづくりを進めながら、児童生徒、教職員の防災意識の高揚に努めてまいりたいと考えております。
次に、共助のシステムづくりについてですが、コミュニティーの最小単位は家族であり、その次が隣近所、そして自治会領域、小学校区と徐々に大きくなってまいります。田辺市におきましては、平成24年度から9月の第1日曜日を家族で考える防災の日と制定し、市民の皆さんに啓発を行っているところであります。その目的は、年に一回は家族で災害時の避難方法や待ち合わせ場所、日ごろの備えなどについて話し合い、防災意識を高めてもらう。
こうした中で、災害時は、まず自助が基本となり、自分が助からなければ、次のステップである共助が成立しないということもあわせて、周知に努めているところであります。
さきに述べました、防災学習の根本的な狙いは、児童生徒が学校で防災教育を受けてさまざまな知識を得て、それを家庭に持ち帰って家族に伝える。そして、子供たちが父母や祖父母に伝えられたことは地域にも拡散し、それぞれの世代において実践する。さらに子供たちが10年たてば大人になり、また、10年たてば親になり、やがて子へと受け継がれる。こうしたサイクルが機能することにより、全ての世代へと浸透していくものであると認識しております。
こうしたことから、防災教育は、単に防災について知識を植えつけるだけではなく、最終目標は人づくり、地域づくりであります。こうしたことから、コミュニティーを強化することにより、しっかりとした共助のシステムが根づくものであると考えているところでございます。
以上でございますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
以上です。
(総務部長 中瀬政男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 安達克典君。
(11番 安達克典君 登壇)
○11番(安達克典君) 御答弁ありがとうございました。災害復旧工事の未完了工区につきましては、大規模な山腹の崩壊、土石流の発生現場での工事となっているだけに、今後の大雨による二次災害が心配されます。作業員の安全確保に引き続き重点を置くとともに、早期の復旧が待ち望まれるところであります。
次に、観光面については、世界遺産登録10周年ということは十分に理解できるところではありますが、市内全域での観光客の誘致をできるよう改めて施策を練っていただきたいと思います。
次に、木造仮設住宅については、木の国和歌山ならではのモデルを田辺市から発信できるよう、さらなる検討を進めていただき、早期の完成を期待いたします。
次に、消防力の強化については、各地域に即した車両の配備が進められる中で、新型機能を搭載した消防車、キャフスシステムが導入されることにより、消火効果が向上するということなので、大変喜ばしいことであると思います。加えて、民間各種団体との防災協定の更新も地域ごとにそれぞれの特色をもって締結していけば、住民の安心安全がより高められると思われますので、早い時期での更新をしていただきますよう再度要望しておきます。
次に、11月5日の津波防災の日の取り組みについては、県下各地、全国から見ても注目される取り組みになると思います。大変よい時期に一般質問をさせていただいたと思っております。
次に、防災教育の関係につきましては、次の学社融合の取り組みの中でも、大きなウエートを占めてくる分野になろうかと思います。各学校での今後の取り組みについて期待をし、次の項目に移ります。
先月8月23日、24日の2日間、紀南文化会館において、第17回融合フォーラムin和歌山2013(兼)田辺市学社融合研修会が全国各地から大勢の関係者がお集まりになり開催されました。
私も当日、市P連の会長として参加をさせていただきましたが、オープニングの紀州備長炭炭琴演奏を秋津川中学校、また秋津川炭琴サークルの皆さんが、古道学習・語り部ジュニアとして本宮の三里小学校が、田辺第一小学校地域の学社融合賛歌として、元気田一小学校が、田辺第一小学校とわかばコーラスの皆さんにより、それぞれ披露されました。大変オープニングから熱の入ったすばらしい発表でした。その後、復興から次のステージへ未来を開く学社融合と題し、宮城教育大学教育復興支援センター副センター長の野澤先生による基調講演が行われました。
その後、学社融合から地域への活性化というテーマで、パネルディスカッションが行われ、次の日は4会場に分かれ、分科会が行われ、最後に全体会で各分科会で話し合ったことを全体で共有するため、報告会をもって閉会いたしました。この大会の成果について、実行委員長でもあられた教育長にお聞きいたします。
また、今後の学社融合による地域づくりについてもあわせてお聞きします。よろしくお願いいたします。
(11番 安達克典君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 教育長、中村久仁生君。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 議員御質問の第17回融合フォーラムin和歌山2013(兼)田辺市学社融合研修会の成果と今後の学社融合による地域づくりについて、お答え申し上げます。
8月24日、25日、2日間にわたり田辺市において学社融合の全国大会であります第17回融合フォーラムin和歌山2013、それから私どもの田辺市学社融合研修会を開催いたしましたところ、県内外から2日間で学校の教員、公民館関係者、そして各ボランティアの皆様方など約600名が参加されて、大変成功裏に終えたのではなかろうかと、このように思ってございます。
田辺市教育委員会では、平成14年度から完全学校週5日制の開始に伴い、県下で初めて各学校、幼稚園に地域連携担当者を配置いたしました。そして各地域の公民館と連携を図りながら、学社連携の取り組みを始めました。さらに、学社連携から学校と地域の双方にメリットを生み出す学社融合へと進化させるべく、平成19年度を学社融合元年として、田辺市教育委員会教育行政基本方針の最重点項目に学社融合の推進をうたい、学校教育及び生涯学習の双方の活動方針に学社融合の理念と具体的な方向性を位置づけて以降、学社融合のさらなる推進のためにさまざまな取り組みを行ってまいりました。
例えば、年2回、学校職員や公民館関係者、PTA役員、学校支援ボランティアなどを対象とする合同研修会の開催、県下で初めてとなります学校と公民館の施設の併設、それから学校へは学校教育課から、市域の公民館には生涯学習課からそれぞれ同時に研究指定をする学社融合ダブル指定という取り組み、文部科学省と和歌山県の補助事業であります地域教育コミュニティ推進事業の4地域での推進など、今日まで教育委員会が総力を挙げて全市的に取り組みを進めてまいりました。
その結果、一昨年の台風12号災害では、各避難所において中学生がお年寄りのそばに行き、話し相手になったり、避難所運営を手伝うなどの姿が見られましたが、これは常日ごろから学校と地域がつながっていることにより、自然と自発的な行動にあらわれたものでなかろうか。このように考えてございます。
また、地震や津波、水害や山崩れなどさまざまな自然災害に備えて、学校と地域が一体となり、地域ぐるみで防災教育にも力を入れて取り組んでいるところであり、このような約10年間に及ぶ取り組みが文部科学省を初め全国的に高く評価をいただいている中、このたびの田辺市においての全国大会の開催が実現したわけでございます。
大会では、学社融合によるまちづくり・人づくりと防災を全体テーマに、田辺市の多くの先進的な実践事例を全国に発信できたとともに、全国各地の先進事例に触れることができました。非常に意義のある大会になったと考えているところでございます。
教育委員会といたしましても、今日までの取り組みの成果が評価されたものと認識をしてございます。今回の大会を通じて、東日本大震災でも同じように、学社融合を進めてきた地域は、避難所運営がうまく進められているといった事例が発表されました。この学社融合は、子供の健全育成だけではなく、防災を初めとする地域づくりへと大きく寄与できると改めて認識をした次第でございます。
教育委員会といたしましては、今回の大会を契機とし、より一層学社融合による子供の健全育成や防災を初めとした地域づくりを各地域で展開してまいりたいと考えてございます。それぞれの地域において地域ぐるみで学社融合を推進するための組織を構築するとともに、学校教育課と生涯学習課がさらなる連携を図りながら、積極的に各地域への支援と指導を行うことにより、田辺市全体として学社融合のさらなる進化・発展を目指してまいりたいと、このように考えてございますので、御理解を賜りますようよろしくお願いいたします。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 安達克典君。
(11番 安達克典君 登壇)
○11番(安達克典君) 御答弁ありがとうございました。教育長の熱意がひしひしと伝わってまいりました。今後、市内全校において学社融合が推進されますことを期待いたします。
この学社融合とヤフーで検索してみてください。何と田辺市の学社融合についてというのがトップに表記されます。その次に北海道の事例があり、3番目に文部科学省と続きます。何でもトップというのは大変気持ちのよいものです。と同時に、追いかけられる立場にもあると思います。引き続き、学社融合のまち、田辺市と言われるような取り組みを進めていただきたいと思います。
今回の一般質問は台風12号災害から2年が経過し、市としてももう一度現場を見直し、今後の災害に備えるという意味で質問をいたしました。未完成工区の災害復旧現場の早期完了を願うと同時に、新たな災害に万全な備えと対策に取り組んでいただきますよう、強く要望いたしまして一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
(11番 安達克典君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、11番、安達克典君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(塚 寿雄君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時43分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 山口 進君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 山口 進君) 続いて、5番、橘 智史君の登壇を許可いたします。
(5番 橘 智史君 登壇)
○5番(橘 智史君) こんにちは。5番、紀新会の橘 智史です。初の一般質問で勝手のわからないところもあり、御迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いいたします。それでは、通告に従いまして、一般質問に入りたいと思います。
まず、1番目といたしまして、田辺市の防災についてです。一昨年の東日本大震災後、防災や地震、津波などの一般質問は多数あったと思いますが、本年3月に県から南海トラフの巨大地震及び東海・東南海・南海3連動地震による津波浸水想定が新しくできたこともありますので、今後の田辺市としての防災への取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
私の住んでいるところは新庄町で、旧新庄村役場跡になります。家の前に昭和の南海大震災の石碑があり、地面から1メートル10センチのところに浸水の印が入っています。その震災では、田辺全体で69人の方が犠牲に遭われています。内訳では、新庄町で23名、文里地区37名、芳養地区7名、栄町で2名、大変多くの方が犠牲に遭われています。東日本大震災時、田辺市でも大津波警報が発令され、私も消防団員として避難誘導、広報活動をしていましたが、避難される方はそれほど多くなく、非常に危機感を覚えました。
また、東日本大震災の津波では、深夜1時ごろですが、家の前の名喜里川の水位が1メートル50センチほど上がっていまして、文里湾につながる川ですが、奥まったところへの津波の速さ、水の盛り上がり方に脅威を感じたことをきのうのことのように思い出します。
先日の9月1日の防災の日を前に、地元を回り、地域の方の御意見をお伺いいたしまして、一番心を打たれたのは、要援護者の方の言葉でした。足が悪くて逃げられない。酸素ボンベを持って逃げなければならないから無理やわという言葉に戸惑いを覚えました。有事のときには、近所の方が助けにきてくれることになっていると言っていましたが、それでも不安とのことでした。
これは私の勝手な考え方でございますが、例えば、要援護者に高台住宅への転居のあっせんやそれに伴う金銭的な補助、介護保険を移転費用などにも使えるような取り組み、法律の改正や民間の仕事など、さまざまな問題があるかと思われますが、新しく津波浸水想定ができたこともありますので、要援護者の方への田辺市としての新しい取り組みなどございましたらお聞かせください。
二つ目は、沿岸部居住者へのライフジャケットの支給についてです。
津波から命を守るためには、いち早く高いところへ逃げること。高台にいることだと思います。私は船に乗って漁をすることがあるのですが、そのときにライフジャケットを必ず装着します。なれるまではつけるのが面倒くさいのですが、でもつけ出すと、ないとすごく不安になってきて、今では当たり前になっています。
そして、海上における災害などでもライフジャケットの有無が生死にかかわっていることが多くあります。地震時に津波が起こり、避難する中で、ライフジャケットを装着していれば、流出時などに重要な役割を果たしてくれると思うのですが、いかがでしょうか。
要援護者だけではなく、沿岸部にお住まいの18歳までの子供たちや高齢者の方への無償支給です。また、低いと言われている避難タワーにも設置していただけたら、逃げおくれた方のために役立つかと思うのですが、あわせて御検討いただきたいと思います。
三つ目の質問は、危険箇所の調査と整備についてです。行政や地域の方の御協力で、今ではたくさんの避難路が整備されていますが、今回の避難訓練を前に、地元地域を何カ所か歩かせていただきましたところ、避難場所の高さが以前の震災前の基準であったり、そこに行くまでの道路が弱いのじゃないかと思うところがありました。すばらしい避難路があっても、そこに行くまでの道に何かが起これば、迂回したりと、時間を要することになり、的確な避難ができなくなりますので、改めて調査と整備をしていただきたいと思います。
また、先日の県の行政報告会で、知事も言われていましたが、ため池の整備も早急に対応していただきたいと思います。整備時期の古い護岸が風化していたり、劣化しているところがたくさん出てきていると考えられます。田辺市でもため池の数や現状を把握していただいていると思いますが、大きな地震にも耐えられるような、整備をしていただきたいです。行政の目が届かないところもあるかと思いますので、地域の方からの情報も参考に、危険箇所の調査と整備を早い時期にしていただきたいと思います。
以上で、一つ目の質問を終わらせていただきます。
(5番 橘 智史君 降壇)
○議長(副議長 山口 進君) 5番、橘 智史君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 橘議員御質問の田辺市の防災についての1番目、県が公表した新たな津波浸水想定における要援護者に対する新たな取り組みについては私から、あとは担当部長からお答えいたします。
現在、本市では各地区の民生委員が地域の要援護者を調査し、名簿への掲載許可をいただいた方を名簿に登載し、市で保管しています。こうした名簿は、希望する自治会に提供し、それをもとに各自治会の実情に応じた対応に努めていただいているところであります。
発災時の要援護者対策につきましては、各自治会によって取り組みが異なるわけでありますが、共通するところはまずは自助を基本として、続いて共助ということになります。一番身近なコミュニティーである家族、続いて隣近所となるわけでありますが、具体的に取り組みをどう充実させていくかが課題であると認識しているところであります。
議員御質問の新たな取り組みの御提案で高台への住宅移転等における助成制度の有無につきましては、沿岸のまちづくりの指針となる津波防災地域づくり法が施行されているところでありますが、高台移転に係る個人給付などについては、法律では規定されていないのが現状です。今後、こうした課題につきましても、津波防災地域づくり法、国土強靭化法など、関連する法律の動向に注意してまいりたいと考えているところでありますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(副議長 山口 進君) 総務部長、中瀬政男君。
(総務部長 中瀬政男君 登壇)
○総務部長(中瀬政男君) 2点目の沿岸部の要援護者や児童生徒等へのライフジャケットの支給、また避難タワーなどのうち、高さが足りないといわれている施設にもライフジャケットを設置してはどうかという御提案についてお答えします。
これまで田辺市では、非常に大きな揺れが長時間続いたときは、津波警報や避難指示を待つことなく、一目散に高台などに逃げるということを第一義に掲げ、啓発に努めてまいりました。
東北3県では、震災による死者のうち、津波による溺死がほとんどを占めているため、津波に流されたときのライフジャケットの有効性の是非につきましては、全国的に議論されているところであります。
しかしながら、津波到達まで15分前後と言われている田辺市において、時間の猶予がないこともあり、ライフジャケットの装着に時間がかかるようなことでは逆に避難行動の妨げになるため、まず避難行動を第一に考えることが優先であると考えております。
実際、ある町で訓練の際にライフジャケットを装着して避難したケースと、そのまま避難したケースということでは、装着して避難したほうが、一定の時間を要したという事例があります。
さらに、ライフジャケットは水に浮くという性格上、ある程度の有効性は認めるものの、津波は瓦れきを初め、さまざまな漂流物を伴うことからその安全性に疑問を呈する声が多いのも事実でありますことから、津波から命を守るためのライフジャケットの必要性につきましては、今後の課題であると認識しております。
また、御提案の高さが足りない避難タワーなどへの設置につきましては、設置場所の問題はあるものの、浸水が想定外の高さとなった場合の対処方法として研究してまいりたいと考えております。
次に、3点目の御質問、旧想定のままで高さが十分に確保されていない津波避難路とその危険箇所、また危険と思われるため池について把握できているのかという御質問でございますが、津波避難路につきましては、東日本大震災後、沿岸部の町内会とこれまで津波が来ないとされていた町内会からも地域の課題や聞き取りを実施し、必要な地域については市が直轄で避難路を整備したほか、補助金により地元で整備を実施するなど、積極的に避難路整備に取り組んでまいりました。これら震災後に整備した避難路につきましては、これまでの2倍の浸水深を想定し、おおむね15メートル以上の高台へ避難できるよう整備してまいりました。
こうしたことから、これらの避難路につきましては、高さ及び危険箇所の有無についてはクリアできているものと考えておりますが、震災以前に補助金等により整備した避難路につきましても、町内会等と連携を図り、条件が満たされていない箇所につきましては、早急に改修や延伸を行うなど安全対策に取り組んでいるところでございます。
次に、ため池整備についてでございますが、本市におきましては、大小250を超えるため池が点在しており、その多くは農業用水の確保を目的として古い時代に人工的につくられたものとなっております。しかしながら、そのほとんどは長い年月の経過とともに、老朽化が進み、農業用水の安定確保だけでなく、防災上からも整備が望ましいため池が増加しているのが現状です。
このような状況の中、県が策定したため池改修加速化計画に基づき、平成24年度から県営事業により中三栖の新池の全面改修を、また昨年度末の国の緊急経済対策により、市内にあるため池3カ所の部分改修に着手しております。
さらに、平成21年度に整備したため池台帳に基づき、市内にある全てのため池について決壊の危険度や下流周辺への影響等を把握し、対応措置を講じるために、今年度から現地調査を行っております。
この調査結果がまとまり次第、危険度の高いため池をリストアップし、県及び地元水利組合と協議しながら整備を加速化させなければならないと考えております。しかしながら、ため池の改修には多額の事業費と期間を必要とし、また近年、農業者の高齢化あるいは後継者不足、さらには農地から宅地等への転用により、受益者が減少傾向にあるため、整備に伴う一戸当たりの地元負担が大きくなり、その捻出が困難なところもあります。今後の対策については、関係部局で協議しながら、計画的な整備を推進していきたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(総務部長 中瀬政男君 降壇)
○議長(副議長 山口 進君) 橘 智史君。
(5番 橘 智史君 登壇)
○5番(橘 智史君) 御答弁ありがとうございました。いろいろ地元を回っているときに、いろんな意見を聞いてきまして、こういう質問をさせてもらいました。
先日の避難訓練では、東日本大震災前より多くの方が訓練に参加していただけたと思います。私も新しくできた新庄町名喜里地区の避難場所と中学校に行かせてもらいました。震災があって、市民の皆さんの意識が高まっているのかなと感じたのが率直な気持ちです。もっともっと多くの方に訓練に参加してもらって、逃げるという意識を高めてもらうためにも、私も消防団員でもありますから、もっともっと地元に協力できるように頑張っていきたいと思います。そして、災害時でも生存率100%にしていきたいと思いました。
2番目の質問に入りたいと思います。2番目の質問は国体に向けた子供たちへのスポーツ推進についてです。
一つ目は、体力の低下についてです。
近年、全国的に体力の低下傾向にある小中学生ですが、文部科学省が行っている体力運動能力調査によりますと、子供の体力、運動能力は昭和60年ごろを境に低下傾向にあるそうです。
現在の子供の結果をその親の世代でもある30年前と比較しますと、ほとんどの項目において子供の世代が親の世代を下回り、一方で、身長、体重などは親の世代を上回っているようです。
このように体格が向上しているにもかかわらず、体力運動能力が低下していることは、身体能力の低下が深刻な状況であることを示していると思います。これに伴い、小学生のけがの総件数も独立行政法人日本スポーツ振興センターのデータですが、1978年の約34.5万件から、1,999年には約45万件と10万件ほどふえています。
現在では横ばい状態のようですが、この調査では、すぐに骨折する子供や顔、頭をけがする子供が多くなっていることはわかっています。これは上手な転び方を知らないということで、危険な場所に遭遇してもとっさに手をつくことができず、転んだときに顔や頭をぶつけてしまうということです。
こうした現状が進むことによって、
生活習慣病の増加やストレスによる抵抗力の低下など、さまざまなトラブルが増加してくると思われます。また、勉学をする上でも、体力が非常に重要になってくると思います。体力の向上は健康な生活を送る上でも、意欲や気力といった精神面の充実にも非常に大事なものです。健全な発達や成長を支え、充実した生活を送る上でも大変重要なものと思います。子供の時期に活発な身体活動を行うことは成長、発達に必要な体力を高めることはもとより、運動、スポーツに親しむ身体的能力の基礎を養い、病気から体を守る体力の強化をし、より健康な状態をつくっていくことにつながると思われますが、市内の子供たちの体力の低下やけがの発生状況をどのように把握しているのか。また、子供の体力を向上させるために、どのような取り組みをしているのか、お聞かせください。
二つ目は、国民体育大会の児童生徒の観戦についてです。
和歌山県では、昭和46年に黒潮国体があり、今回の紀の国わかやま国体は44年ぶりの開催となります。国体とは、我が国で最大のスポーツの祭典で、国内のトップアスリートがたくさん集う大会です。この田辺市でも少年サッカー、ボクシング、軟式野球、弓道の4競技が開催されます。県内各地で37競技が正式競技として開催され、レベルの高い技や試合を身近に観戦できる絶好の機会になるかと思います。
特に、次代を担う子供たちにとって、スポーツのすばらしさを肌で感じられる最高の機会であり、その経験は教育の観点からも人間形成においても大いに生かされるのではないでしょうか。私は、学生時代にサッカーをしていまして、今から25年から30年前になるのでしょうか。また、まだJリーグもなくて、サッカーのテレビ中継もほとんどなかった時代です。
今でこそ、日本代表の試合もライブで、それもゴールデンタイムで見られる時代になりましたが、当時は雑誌などでしか情報が得られませんでした。そして、その本物を見れることによって、現在の子供や学生たちの技術が格段に向上しています。地元の高校生の試合を見にいくことがあるのですが、私たちの時代では、考えられなかったような試合やプレイをしています。そのようなことからも、ぜひ本物を見ていただきたいと思います。しかし、県内各地で行われる各種競技は、10日間の日程で、授業のある平日にも行われるため、応援や観戦をしようにもできないケースが多くあります。せっかくの本県開催の国体であり、田辺市でも4競技が行われる大会です。学校の授業や行事との兼ね合いもあるかと思いますが、子供たちには、田辺開催競技に限らず、自分の興味や関心のある競技の応援、観戦をしていただきたいと考えますので、長期休暇への授業の振りかえなども含めて、対応できないものか、また教育の観点からも授業の一環としての応援や観戦について、どう考えているのか、御見解をお聞かせください。
(5番 橘 智史君 降壇)
○議長(副議長 山口 進君) 教育長、中村久仁生君。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 議員御質問の2点目、国体に向けた子供たちへのスポーツ推進についてお答えいたします。
まず、子供の体力低下についてでありますが、文部科学省が毎年行っております体力・運動能力調査によりますと、議員もおっしゃいますとおり、子供の体力、それから運動能力は昭和60年ごろをピークに低下が続いておりました。しかし、ここ数年は横ばいの状態ということになってございます。
昨年度の5年生と中学2年生の体力テストの結果を見てみますと、和歌山県は全国平均を下回る状況となっております。しかし、田辺市の児童生徒の体力運動能力につきましては、小学生においては県平均、全国平均ともに上回る種目が多く、中学生もほとんどの種目で県の平均を上回っております。
しかし、50メートル走では、小・中学生、共通して全国、県の平均を下回っておりますので、田辺市の課題であると、このように思ってございます。子供たちのけがの状況につきましては、日本スポーツ振興センターのデータによりますと、学校、園における負傷発生率は年々増加傾向にありましたが、これも現在は横ばい状態となってございます。
昨年度、田辺市教育委員会が日本スポーツ振興センターに報告をした学校管理下における児童生徒の負傷件数は647件で、負傷発生率は全国平均を上回る現状ということになっております。
こうした体力、運動能力等の実態を踏まえ、教育委員会では学校訪問や管理職研修などを通して、体育の授業充実について指導するとともに、始業前や休み時間、放課後における体力づくりの取り組みの充実や家庭、地域と連携した取り組みなど、子供たちの体力向上や健康増進に向け、創意工夫しながら取り組むよう指導してございます。
また、各学校においては、調査結果を分析して、自校の体力アッププランというのを作成して、具体的な目標を決めてそれぞれの学校に応じた取り組みを展開しているところであります。
次に、国民体育大会の児童生徒の観戦についてでありますが、平成27年度に開催されます紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会は、児童生徒のスポーツへの興味関心を高める絶好の機会であると捉えております。
国内最大のスポーツの祭典において、間近で選手のすばらしいプレーに接し、感動と興奮に胸躍る経験は子供たちのスポーツ活動や人間形成に大きな影響を与えるものと思われます。
さらに、ふるさとを愛する心を育んだり、障害者に対する人権意識を高めるなど、さまざまな面において教育的効果が期待できると考えております。
議員御提案のとおり、教育活動の一環として、田辺市で行われる競技を応援、観戦したり、また、児童生徒が個々に興味関心のある競技を観戦したりできるよう、教育委員会として前向きに検討し、柔軟に対応してまいりたいと考えております。
以上であります。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(副議長 山口 進君) 橘 智史君。
(5番 橘 智史君 登壇)
○5番(橘 智史君) 御答弁ありがとうございました。2020年に東京オリンピックが開催されることになりました。2年後の紀の国わかやま国体で本物のトップアスリートを見て、刺激を受けた子供たちが7年後の東京オリンピックに出場していたらと思うと、我がことのようにうれしく思います。スポーツを観光資源に取り入れる上でも、未来を担う子供たちのスポーツへの関心や技術の底上げは必ず必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
3番目の質問です。3番目の質問は、学校における諸問題についてです。
現在、学校には、いじめや子供の非行の問題、不登校、保護者の対応や子育ての問題などさまざまな問題があるかと思われます。それぞれの問題に対して、学校や先生方、保護者の方も懸命に取り組んでいただいていると思いますが、中には解決が困難であったりする場合もあるかと思います。そこで学校や保護者等と利害関係のない第三者的な機関をつくるのもいいのではないかと思い、今回、この提案をさせてもらいます。
ここでは社会福祉法人、全国社会福祉協議会の第三者委員の役割と活動という資料を簡単に取り上げてみます。事業者における苦情解決の仕組みには、苦情受付担当者、苦情解決責任者の設置とともに、その解決プロセスを透明化することなどを目的として、第三者委員の設置が規定されています。苦情解決の仕組みは本来、当事者である利用者と事業者とでも解決されるべきものですが、事業者から不利益をこうむることを恐れて、苦情を言い出すことができなかったり、あるいは物理的・精神的理由で苦情の申し出が困難な人もたくさん存在し、こうした状況にかんがみ、苦情を解決していく過程の中に、客観的な視点を入れること、または潜在して表面にあらわれてこない声を吸い上げることなどを目的として、苦情解決の仕組みに第三者委員が位置づけられています。
学校生活におきましても、学校やクラスメイトに直接言いにくいこと、伝えにくいこと、また、学校側でも同じようなことがあると思われます。その観点からも第三者的な機関の設置はいかがでしょうか。昨年12月に起きました市立中学校におけるいじめに関する問題では、現在、第三者調査委員会が立ち上がり、原因究明に取り組んでいただいていると思いますが、問題を未然に防ぐためにも、このような機関や体制を設けていただきたいと思いますが、御見解をお聞かせください。
(5番 橘 智史君 降壇)
○議長(副議長 山口 進君) 教育長。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 議員御質問の3点目、学校における諸問題についてお答えいたします。
議員御指摘のように、社会の変容の中で、児童生徒の抱える問題は多様化しており、子供の非行の問題、いじめ、不登校、または保護者対応など、学校はさまざまな問題に日々対応しているわけであります。
保護者の価値観や意識も多様化しており、時には学校の対応等に対して、厳しい御指摘を受ける場合もございます。また、親として我が子を思う気持ちから、学校との行き違いが生じ、解決が困難になるケースもございます。学校における諸問題に対して、田辺市では、電話やメールによる相談窓口を設け、いじめや不登校等の相談活動を行っております。また、いじめ問題対策委員会、不登校問題対策委員会を設置し、それぞれの委員会より提言をいただき、各学校での取り組みに生かしてございます。
さらに、スクールソーシャルワーカーを配置し、学校からの依頼を受けたケースについて、学校と家庭、関係機関をつなぐ働きをし、子供を取り巻く環境の調整役を担っております。
県教育委員会におきましては、今年度より学校サポートチームが設置されました。弁護士や臨床心理士、警察関係者等がメンバーとなっており、学校が抱える諸問題に対して学校、市町村教育委員会と連携を図り、解決に向けて取り組むシステムとなってございます。
学校においては、諸問題、個々の事例に応じて、関係機関と連携を図りながら、子供の抱える問題に対応しております。議員より御提案のありました第三者的な機関の設置につきましては、県の学校サポートチームと連携をしながら、現在、田辺市に設置しております対策委員会の活用や現在ある関係機関等との連携をさらに発展させることなどを含めて、今後研究してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(副議長 山口 進君) 橘 智史君。
(5番 橘 智史君 登壇)
○5番(橘 智史君) 御答弁ありがとうございました。私も子供が小学校5年生と3年生、保育所にいます。多かれ少なかれ、私たちからすればそれはいじめなのかなと思うこともいっぱいありますし、いろんな親の意見も聞いたりする中で、こういう提案をさせてもらいました。
人間というものは昔あったこととか、嫌なこと、災害などもそうだと思いますが、当事者でなければすぐに忘れてしまうといいますか、記憶が薄れていくものだと思います。昨年の市立中学校のいじめに関する件も少し風化しているような気がしまして、今回学校における諸問題ということで取り上げさせていただきました。私も子供を持つ親として、子供たちが田辺に生まれたことを誇りに思ってもらえるように、もっともっと精進していきたいと思います。
今回、初めての質問で、なかなか上手に言えないところもありまして、本当に申しわけなかったと思います。またもっともっといろんな質問をさせてもらえるように頑張りたいと思いますので、どうか今後ともよろしくお願いします。
これで、私の一般質問を終わらせていただきます。
(5番 橘 智史君 降壇)
○議長(副議長 山口 進君) 以上で、5番、橘 智史君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 山口 進君) この場合、午後1時45分まで休憩いたします。
(午後 1時32分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(塚 寿雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時45分)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、12番、小川浩樹君の登壇を許可いたします。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 12番、公明党の小川浩樹です。
通告に従いまして、一般質問を大きく3項目についてさせていただきたいと思います。
まず、1点目、火災についてであります。私たち市議会議員と市長の選挙、その投開票が行われました4月21日、動鳴気ブドウ園で火災が発生いたしました。以降、22日の午前2時半、朝日ヶ丘の家電販売店でも火災が起こり、同日、午後11時前、今度は私の地元の上屋敷新地入口で大きな火災が発生いたしました。現場で見た光景はすさまじいもので、燃え広がるスピードの速さに圧倒され、また、手がつけられない状況というのはこういうものだということを目の当たりにし、残念ながら1人の方がお亡くなりになりました。
以降、5月7日、本宮町請川で住宅火災、8日は龍神村安井で住宅火災、同日、大塔和田では空き家からの出火で山林2.5ヘクタールが5時間にわたって焼けました。6月8日には、江川での住宅火災により、空き家を含む4棟が燃え、2人の方が亡くなりました。この現場にも伺いましたが、狭隘な住宅地での火災に地元地域の方たちは大きく混乱をしているといった状況でありました。
この4月より6月までの時期は、例年に比べ火災が頻発している印象があり、特に住宅密集地などに住む市民は大きな不安を感じているところでありました。先日もまた、上の山地区でクリーニング工場の火災が起こったところであります。これらの状況を踏まえ、火災に関することにつき、消防本部当局に4点の質問をさせていただきます。
1点目、今年度の火災発生件数、その頻度、それぞれの出火原因やその傾向性、また消火への取り組み等、現状についてお答えください。
次に、2点目、火災予防のために本市の行っている取り組みについてお答えください。
次に、3点目、空き屋のもたらす火災への影響についてお答えください。上屋敷でも江川でも空き家を介して延焼する様を目の当たりにしましたが、市内に大変多くなった空き家が火災被害を大きくする可能性や空き家そのものからの出火等、その影響についてどのようにお考えでしょうか。
次に、4点目、火災報知機の設置状況等についてお伺いいたします。これについては、消防本部の職員の皆様が過去に相当苦労されながら啓発をし、全国平均を上回る設置を達成できていることは認識をいたしております。
現在の状況とその効果はいかがでしょうか。また、一昨年より取り組んでいただいていた旧市街地、住宅密集地における啓発活動の成果についてもお答えください。
以上、4点、消防当局の御答弁をよろしくお願いいたします。
1回目の質問を終わります。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 12番、小川浩樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
消防長、小山裕史君。
(消防長 小山裕史君 登壇)
○消防長(小山裕史君) 議員御質問の1番目、火災についての4項目について、私から答弁させていただきます。
1点目の火災の発生状況等、現状についてでありますが、平成20年から平成24年までの5年間の火災発生状況は、年平均50件発生しており、平成24年が45件と少なく、平成21年が58件で一番多く発生しております。
ことし1月から8月末までは、27件の火災が発生し、一月当たり3.4件で、1年に換算すると約40件となりますので、このまま推移しますと、発生件数については、過去5年間の平均より大幅に減少する見込みとなります。
この27件のうち、建物火災は13件で、不幸にして3名のとうとい命が犠牲になっております。いずれの方も高齢者で逃げおくれたのが原因であります。さらに、焼損した建物の数は46棟で、内訳は全焼23、半焼7、部分焼5、ぼや11棟でありまして、全焼火災につきましては、昨年の11件から現時点で既に倍増している状況であります。
次に、出火原因につきましては、毎年、全国的な傾向と同様でありまして、たき火、たばこ、こんろ、放火が上位を占めますが、ことしの主な建物火災の出火原因は、稲成町の火災はたき火が原因であり、以下、朝日ヶ丘は屋外からの出火で、原因は不明、次に上屋敷は屋外からの出火で同じく原因は不明であります。
さらに、江川につきましては、たばこの不始末とみて調査中であります。
次に、消火活動につきましては、消防隊は、人命救助及び延焼阻止を最重点に現場活動を行っておりますが、特に、上屋敷と江川での火災は、現場到着時に既に火元建物全体が炎上しており、隣接建物にも延焼中でありましたので、直ちに消防団に対して第二次出動をかけ、署と団が連携しながら延焼阻止に努めました。
続きまして、2点目の火災予防の取り組みについてですが、春と秋の火災予防運動、文化財防火デーや危険物安全週間の機会を捉えて、町内会、学校や事業所への防火ポスターの配布や横断幕の掲出など啓発活動を行っているほか、事業所との合同訓練や防火指導により防火意識の高揚を図っております。
また、高齢の方のお宅へ火災予防運動期間中に、防火診断を実施しており、昨年は1,166世帯の火の元の点検を行いました。そして、火の大切さや火遊びの怖さなど、防火の意識を子供のころから身につけてもらうため、現在、17の幼年消防クラブを結成していただいており、今年度も二つの幼年消防クラブの結成を予定しているところでございます。
次に、3点目、空き屋の火災への影響は、との御質問でありますが、今年度に入り、空き屋が焼損する火災が3件ありました。まず、4月に発生した上屋敷での火災でありますが、12棟が焼損し、そのうち5棟が空き家でありました。出火時刻は22時45分ごろで消防本部への入電が22時58分ですので、通報までに13分を要しています。通常、木造住宅火災では、建物の大きさや気象条件にもよりますが、出火後約10分で最盛期を迎えると言われています。
また、5月に発生した江川での火災は、7棟が焼損し、そのうち3棟が空き家でした。出火時刻は2時45分ごろで、入電が2時58分ですので、通報までに上屋敷での火災と同じく13分を要しております。
いずれの火災も深夜で、空き家が多い地域で発生したことにより、発見がおくれ、延焼を拡大し、類焼が多くなったと推測されます。また、この2件の火災は、空き屋が火元ではなく、居住している住宅からの出火であり、空き家があったために被害を大きくしたものではないと考えております。
一方、5月には旧大塔村和田地区におきまして、空き家が火元となった火災が発生し、山林にも延焼し、長時間の消火活動を行っておりますが、出火元となった空き家につきましては、所有者が常時適正に管理をしておりました。なお、出火原因は不明となっております。
次に、火災報知機設置についてでありますが、当市では住宅火災の死傷者の減少を目的に、火災予防条例を改正し、住宅用火災警報器の設置を、新築住宅は平成18年6月、既存住宅は平成23年6月から義務づけております。
ことし6月1日の総務省消防庁発表の設置状況によりますと、当市は85.6%の設置率で、全国の設置率は79.8%、和歌山県では82.3%となっており、いずれも当市が上回っている状況であります。
消防本部の取り組みといたしましては、全戸訪問を目標に、昨年から2名の予防課職員が訪問を開始し、そしてことしからは各消防署でも戸別訪問を行い、市内全域の設置率の向上を目指しております。また、みずから設置することが困難な世帯を対象に、消防職員による設置支援を行っており、現在までに約100世帯に支援を行ったところでございます。
次に、設置の効果でありますが、全国的に奏功事例が数多く報告されており、田辺市内でも条例が制定されてから以降、7件の奏功実例があり、ことし6月には揚げ物をした後、ガスこんろの火を消し忘れ、居間でテレビを見ていたところ、住宅用火災報知器の警報音に気づき消火を行ったことで被害を最小限に抑えることができております。
以上のとおり、火災予防はもとより災害対応には職員一丸となって万全を期するよう努めてまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
以上でございます。
(消防長 小山裕史君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 小川浩樹君。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 御答弁ありがとうございました。4項目の質問のうち、火災報知機の設置については本当に職員さんがすごい努力をされて、全国、和歌山県の平均を上回る設置率を達成していただいていることには本当に敬意を表したいと思います。また、そのことによって未然に火災の被害を拡大させるのを防ぐということに大きな効果を持っているのだろうなというように認識しております。
3番の空き家の火災への影響について、再質問をしたいと思いますが、少子高齢化に伴って市街地には大変多くの空き家がふえてまいりました。上屋敷と江川の火事の燃え広がる様子を目の当たりにして、今、消防長から空き家を介することによって被害の拡大そのものはないという認識でしたが、とはいえ、この二つの火事を見て感じたのは、高齢化に伴い若い方たちが実際亡くなった方のように住んでいれば、死亡者までは出なかったのではないだろうかということや、空き家そのものに人が住んでいれば、通報なり、もっと早い時間帯にできたのではないかということや、延焼そのものも食いとめられたのではないかという認識をやはり持ちました。
再質問をしたいと思いますが、これら住宅密集地の旧市街地の方たちは、空き家そのものにたばこを投げ入れられるなど、放火が起これば、どれだけ自分たちの意識をもって火事を防ごうと努力をしても、自分たちの家が焼けてしまうことにつながってしまうのではないかという大きな不安を持っております。
空き家そのものが出火原因となる火災を予防する啓発について、消防当局のお考えを聞きたいと思います。再質問です。御答弁をよろしくお願いします。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 消防長。
(消防長 小山裕史君 登壇)
○消防長(小山裕史君) 空き家に対しての火災予防の取り組みはどうかという御質問であったかと思います。御答弁させていただきます。
田辺市火災予防条例には、空き家の所有者または管理者が侵入防止、周囲の延焼のおそれがある物件の除去などの措置を講じなければならないと規定されております。地域の安全を守るためにも、空き家の関係者に対して必要な措置を講じさせるなど、適正に指導していきたいと考えております。
一つの成功例として、ことしの5月には、町内会の御協力も得て、空き家の周辺の整理を行っていただき、火災危険の排除に至った実例がございます。
また、先ほども申し上げましたが、消防本部では市内の全住宅への戸別訪問を実施しており、火災予防の推進とともに、救急車の適正利用を目的に緊急性の高い人を優先的に搬送するため、緊急度判定を使った救急業務の実施と救急車をどう使うか迷ったときに、相談する24時間対応の専用窓口である♯7119番の案内もあわせて、戸別訪問を行っているところであります。
消防職員が戸別訪問時に空き家の把握に努めることも重要なことであると思っておりますので、今後とも努力いたしますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
(消防長 小山裕史君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 小川浩樹君。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 御答弁ありがとうございました。どうやら火災の被害を取り巻く環境も少子高齢化、まちの顔、そこに住む人たちの状況により、被害の状況が変わってきたのかなという認識です。消防本部の方が大変日々御苦労されていることを十分認識しながらですが、また啓発等、鋭意研究をしていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
1点目の火災については以上です。
次に、2点目、空き家政策についてお聞きします。私は、3月議会で住むことがまだ可能な空き家についての定住政策について質問しました。このことについては、旧市街地を今後も成り立たせていくためにも期待を寄せているところですが、しかし一方、もう廃屋となってしまった空き家に対し、近隣の方たちが迷惑をしておられ、その改善を行政に対してお願いしたいといった相談も大変多くお聞きをしてまいりました。
具体的には、ムカデやネズミが発生している。扉が壊され、侵入者がそこでたむろし喫煙をしている。トタンや板がはがれかけ、風雨がひどいときは飛んでくる。庭の木が境界を越えて枝を張り、その落ち葉をいつも掃除している。地震での倒壊が明白で、避難路がふさがれる可能性がある等々です。
近隣の方が、直接所有者に苦情を述べ、解決できるケースはもちろん問題はないのですが、所有者が納得せず、是正、修繕がなされず、放置されるケースについては、行政が相談を聞き、その内容により環境課、都市計画課が対応、それでも所有者が応じなければもうほぼ改善の方法がなくなってしまうのが現状であり、また、そのようなケースが年々廃屋の増加に比例してふえていると認識しております。
全国の自治体の中には、この老朽化し、廃屋となった空き家に対し、近隣住民が不安を抱えているケースを放置できないとの立場から、相談窓口を一本化した上で、所有者に適正な維持管理を義務づけ、応じない場合、必要な措置を勧告できる空き家管理条例を制定するところがふえてまいりました。本市においても、そろそろ行政として、このような環境を整えるべきときに来ているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。相談窓口の一本化や管理条例制定などについて、当局のお考えをお聞かせください。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 御質問の空き家政策についての所管部署の集約、管理条例の制定等についてお答えいたします。
日本全国の空き家の件数は年々増加の一途をたどり、総務省の住宅・土地統計調査によると、平成20年の全国の空き家率は13.1%、和歌山県の空き家率は17.9%、当市全体の空き家は8,170戸で、空き家率は20.5%に達しており、将来的にも数値は上昇すると考えられます。
その基礎数値として対象となる世帯数については、平成27年までは増加を続けますが、それ以降は減少に転ずると予想されています。人口に関しては、既に平成16年12月をピークとして、減少しているのにもかかわらず、世帯数が増加しているのは、核家族の増加や単身世帯の増加など世帯の分散化が進んでいることが人口減少にもかかわらず、世帯数を増加させる要因となっているところです。
空き家になる原因といたしましては、同居していた親が亡くなったり、年数回の帰省の際に使うために残しておきたいなどの理由から放置されている場合が多く、長期間不在になっているケースがあると考えられます。居住者がいなくとも、適切に管理されていれば問題はありませんが、大半は誰も使うことがなく放置され、借り手、買い手がつかず、家屋が朽ち果て、また敷地内の樹木や雑草が放置され、管理不全となるものもあります。
このような老朽家屋の放置は、外壁・瓦の落下、へいの落下、または建物自体の倒壊や、台風・暴風時の飛散により、近隣住民及び通行人へ危害を与えるほか、防災面での避難時の道路の閉塞のおそれ、また、防犯面での青少年犯罪等の問題及び悪臭・小動物のすみかとしての衛生にかかわる問題が、生活環境への悪影響を与える要因となっております。
もとより、家屋の維持・管理は所有者の義務であり、また個人の財産である以上、その撤去について強制力を伴わず、所有者の裁量に任せざるを得ない状況であります。このような中、現在の田辺市の対応としましては、家屋によっては所有者の所在が特定できないことも多く、家屋の近隣の聞き取り調査や登記簿の閲覧等により所有者の情報をつかみ、その所有者には都市計画課と環境課が連携しながら、協力依頼という形で対応しております。
議員御指摘の空き家の適正管理関連条例は、平成25年時点では、全国で99自治体で実施されています。条例の内容といたしましては、93自治体が勧告、77自治体が命令、64自治体が公表を定めており、さらに、強制代執行まで定めているのは36自治体にとどまっております。
今後、田辺市といたしましては、早ければ秋の臨時国会に提出される見通しである管理不十分な空き家の全国的な増加を受け、新たな施策として、市町村に立ち入り調査権を与え、所有者への改善命令を可能とする内容の空き家対策特別措置法の動向も視野に入れながら、防災、衛生、景観面等を含めまして、所管部署の集約及び空き家の管理条例に関しましても、各担当課及び各種関係団体と研究・調査を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 小川浩樹君。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 御答弁ありがとうございました。全国で99の自治体が管理条例を制定したということでありますが、都道府県の中ではたしか全国で初めて和歌山県が何年か前に空き家管理条例を制定いたしましたが、どうやら都道府県がこの手の条例を制定しても、なかなか市町村の現場には権限が及ばず、また執行することもほぼなく、影響がない条例になってしまっているのかなという印象があります。本来このような条例は、各末端自治体が制定すべき条例なのかなというふうに思っていますが、国もどうやら住んでいる方のおられるごみ屋敷の是正勧告なども含めて、このことに動き出したと、そのように認識しております。
3月にも質問させていただきましたが、しかし片やまだ、居住の可能な空き家については、私は旧市街地を成り立たせていく上でも、今単体でばらばらにあります耐震改修補助、それから個人が行うリフォーム、新築を建てるよりも安価に銀行とのファイナンス契約ができる、その負担軽減、このあたりを一つの空き家定住政策として、行政に期待をするという質問をさせていただきました。片や定住促進を期待する空き家、この政策を訴え、また片や、いよいよ廃屋となって近所に迷惑をかけている空き家については、それぞれ行政としての措置が要る。この両極端のお話の中での意見をどちらも持っておりますが、よくも悪くも、空き家というものが取りざたされる時代になってまいりました。
1回目は管理条例設置そのものについてのお考えをお聞きいたしましたけれども、私は田辺市行政とすれば、広く空き家というもの全般に対する考え方、将来設計を持った上で、住んでいただく定住政策、また片や環境的にも物理的にも是正勧告措置を必要とする空き家についての管理等々、一括した考え方のもとで空き家というものに関する政策が必要ではないかと思いますが、この将来の方向性について当局のお考えを再度、お伺いしたいと思います。
御答弁よろしくお願いいたします。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 建設部長、林 誠一君。
(建設部長 林 誠一君 登壇)
○建設部長(林 誠一君) ただいまの御質問につきましてお答えいたします。
議員御指摘の総合的な空き家政策としましては、先ほど、市長答弁の中でも述べさせていただきましたが、空き家は長期間放置されることにより、建物の劣化が進行し、防災、衛生、景観面等において諸問題が発生することから、廃屋の除去は大切な施策であることは認識しております。市街地の空洞化の進行を防ぐために、市街地への定住を促進する施策も並行して進めなければなりません。
そのためには、良好な居住環境を備え、再生可能な空き家をいかに有効に活用していくかが大きな課題であると考えております。それらの空き家というストックを活用するという点では、耐震改修を含むリフォームやリノベーションという手法が有効であると認識しております。
今後、空き家政策は、総合的なまちづくりの観点からも、大きな課題であると認識しておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(建設部長 林 誠一君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 小川浩樹君。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 御答弁ありがとうございました。
大変難しい問題ながら、御検討をよろしくお願いしたいと思います。以上で、2点目を終わります。
続いて、3点目の津波避難訓練、避難啓発に関連して質問をさせていただきます。
津波避難訓練が沿岸部各地域で活発に行われております。私も地元中部地区での訓練に2回参加し、また西部地域の訓練も2回見学をさせていただきました。保育所低年齢児の避難訓練の様子や、要援護者援助を想定して、若い方たちが避難所までリヤカーを引く姿や、また、市が抜き打ちで道路が通れなくなったという状況を設定した現場では、訓練参加者がみずから迂回を考える様子等々、さまざまな状況を見せていただきました。
訓練を重ねるたびに大きな混乱が減り始め、参加されている方たちは、落ちつきながらもできるだけ早く避難するといったことになれてきたのではないかとの印象を持っております。
この避難訓練は、マンネリ化を避けるための工夫を重ねながら、しかも定期的に開催し続けなければならないであろうことを深く認識しておりますし、また、現在までおおむねこれら訓練が、一定の成果をもたらしているとの印象であります。
しかし一方、まだまだ参加者が少ないのではないかと感じることや、地域においては、それぞれの取り組みについて、それぞれの悩みを抱えていると感じること等々、課題も多いのかと考えております。
津波避難訓練、またそれに関連することについて3点質問をさせていただきます。
まず1点目、訓練に参加されている方たちはどれくらいの人数でしょうか。各訓練、細かな数まで完全に把握するのは困難なのかもしれませんが、おおよそ各地域、何人ぐらいの全体にすればどれくらいの割合の方が参加されているのでしょうか。そして、それは当局の見解にすれば多いのでしょうか、少ないのでしょうか、その認識をお答えください。
そして、参加者を今後、もっとふやしていくためには、どのような取り組みが必要か等々について、現状をお聞かせください。
次に、2点目、参加者をふやしていくべきという考え方の中でも、特に避難に援助の必要な要援護者や高齢者の方たちについて、お伺いいたします。
防災訓練の日程が行政により設定された後、各地域、町内会では、参加者を1人でも多くつくろうと努力を始めますが、中でも本当に訓練に参加してほしいと感じている要援護者、高齢者の方たちは、なかなか参加してもらえないという悩みを持っております。この方たちの参加は、本人の参加体験の重要性のみならず、それを援助しようとする地域の方にとっても多きな意味のあることとなりますが、実際、その参加はままならない現実があります。大変難しい問題であると認識はしておりますが、各地域と連携をとりながら、この高齢者、要援護者の訓練への参加を促していくことが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
次に、3点目、沿岸部保育所への対応についてお伺いします。
昨年の6月議会において、津波被害を受けると想定される沿岸部保育所についての高台移転や統廃合、私立との連携などを含めその将来計画についてと、特に、ゼロ歳児、1歳児、2歳児の低年齢児を抱え、避難行動に大きな不安を持つ施設については、市立、私立を問わず行政から何らかの啓発が必要ではないかとの質問をいたしました。
市として、総合的に今後検討していくとの答弁をいただいたわけですが、その折は民主党政権のもと、子供子育て新システムという計画が議論されているところでした。その後、12月に新政権が発足、子供子育て支援の新制度の骨子がことし2月に示され、それに基づき各市町村が子供子育てにかかわる各分野の代表による子供子育て会議を設置、2年間の議論によって、各自治体の保育所、幼稚園施設の将来のあり方を決めていくということとなり、本市においてもその会議がスタートをしているという状況です。
高台移転や統廃合議論、また私立幼稚園が低年齢児受け入れの保育の部分を行うと手を挙げてくれるところがあるか等々、市内の各施設の動向、子供子育て会議の結果を待たなければいたしかたないという状況にあることは理解しております。
しかし、実際は、いつ起こるやもしれぬ地震津波災害に対しての、これら保育所の抱える不安は大変大きく、関係者は大変気をもんでいるところです。将来の具体的な市内保育所、幼稚園のあり方については、その会議に議論を任せるとして、市としてはその被害を最小限に抑えるために手を打っていかなければなりません。昨年答弁をいただきました私立保育所への働きかけを含めて、この地震津波災害から市内沿岸部保育所の児童を守るための取り組み、啓発についてお答えください。よろしくお願いいたします。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 総務部長、中瀬政男君。
(総務部長 中瀬政男君 登壇)
○総務部長(中瀬政男君) 議員御質問の3点目、津波避難訓練、避難啓発に関連してのうち、1点目、2点目についてお答えいたします。
津波対策につきましては、津波から逃げ切ることを目標に、ハード・ソフトの両面から取り組んでいるところですが、中でも津波避難訓練は非常に重要であると考えております。特に、平成23年3月に発生した東日本大震災後は、より実践に即した避難訓練となるよう、安全な一時避難場所への避難を徹底するなどし、さらには市民の意識にも一定の変化があったと考えております。
御質問の訓練への参加状況等の現状ですが、毎年8月末や9月初めに実施している市の防災訓練のうち、沿岸部のある田辺地域について申し上げますと西部、芳養谷ブロックを対象とした訓練では、平成20年度は836人が参加し、参加率は対象人口の5%であったのに対し、平成23年度には、1,570人で9.6%に増加しています。
次に、秋津谷、三栖谷ブロックについては、平成21年度には821人が参加し、参加率3.8%であったのに対し、平成24年度には3,321人で15%に増加しています。
次に、東部、南部、中部、新庄ブロックについては、平成22年度は799人が参加し、参加率2.7%であったのに対し、今年度は先日の9月1日に実施した際には、雨模様ではありましたが、2,379人で8%に増加しています。
また、毎年7月に三重、和歌山、徳島、高知の4県共同津波避難訓練に合わせて実施している津波避難訓練につきましては、毎年対象地区が異なることから一概に比較はできませんが、平成23年度は内之浦地区を対象に実施し、417人の参加がありました。翌平成24年度は津波浸水が予測されていなかった中部ブロック14町内会、約5,600人を対象とし、事前に町内会の役員さんなどにお集まりいただき、ワークショップを開催したほか、訓練当日には小中学生にスタッフとして参加していただくなどとし、1,969人が参加され、参加率は35%でした。
今年度は、芳養谷ブロックのうち津波浸水が予測される地域の約2,300人を対象に実施しました。昨年同様、事前にワークショップも行い、訓練当日は970人が参加され、参加率は42%でした。こうした市が主催する訓練のほかにも、西部ブロックや南部ブロックの町内会では、毎年ブロック単位で大規模な津波避難訓練を実施し、多くの方々が参加されておりますし、また自主的に津波避難訓練を行っている町内会などもあります。
このように、東日本大震災以前と比べますと参加者が増加しており、また、新たな避難訓練の取り組みがなされるようにもなっておりますが、参加者数につきましては、まだまだ十分ではないと認識しております。
訓練は、同じことを何度も何度も繰り返し、体で覚えることが大切である一方、マンネリ化してしまう傾向もあることから、昨年10月に龍神村で実施し、好評であった防災フェスティバルのように、これまでと違う趣向を変えた取り組みも必要かもしれません。
また、小中学校など、子供たちに参加してもらうことで、親や高齢者までの各世代に参加していただけるよう進めてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、何より市民の皆さん、一人一人が一層防災意識を高め、主体的に取り組んでいただく必要があることから、今後も周知啓発に努めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の高齢者、要援護者の参加についてお答えいたします。
過去の自然災害を見ましても、被害を受けた方の多くは災害時要援護者であり、災害時要援護者の避難支援対策については、全国的にも大変難しい課題であるのが現状です。本市におきましては、平成21年度から災害時要援護者名簿を作成し、町内会などに提供しており、地域でも災害時のみならず、平常時から見守り活動などに活用していただくようお願いしているところです。
また、昨年度は県の補助を受け、リヤカーを整備し、災害時要援護者の津波避難に活用していただくため、津波の浸水が予測される町内会にリヤカーを貸与しており、今年度も追加で整備する予定です。
さて、これまで津波避難訓練では、訓練対象地域内にある老人福祉施設にも御協力いただき、避難訓練に参加していただいたこともありましたし、町内会によっては、車椅子やリヤカー、担架を利用し、災害時要援護者の避難支援を行っているところもありました。
しかしながら、多くの町内会において、津波発生時の災害時要援護者の避難支援のあり方について苦慮されており、支援を必要としている人と支援者とのすり合わせが課題となっている現状です。災害時要援護者が訓練に参加することで、課題が見えてくるということも期待されるところですが、まだまだ参加者数は十分でないと認識しております。
災害時要援護者の方の中には、体力的な問題などで訓練に参加することが困難な方もおられると考えられることから、例えば、一時避難場所まで行けなくとも、それぞれの状況に応じた方法で、自宅から道路まで避難する訓練や災害時要援護者に特化した避難支援訓練のほか、福祉関連施設や事業所などにも御協力いただいて、避難訓練を実施することなども必要ではないかと考えております。
また、これまで市の防災訓練は主として夏に実施しており、昨今では非常に暑い日が多く、御高齢の方などには御負担となっていることも懸念されることから、今後は少しでも参加しやすくするために、涼しい時期に日程を変更するなどの検討も必要と考えています。
いずれにしましても、特に津波発生時の時間的余裕のない場合には、地域の皆さんの迅速な避難支援が必要不可欠であり、日ごろから地域のつながりを深め、地域の防災力を高めておくことが重要です。非常に困難な課題でもあることから、市と地域が一体となって取り組んでいく必要があると考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(総務部長 中瀬政男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
保健福祉部長、田中 敦君。
(
保健福祉部長 田中 敦君 登壇)
○
保健福祉部長(田中 敦君) 議員御質問の3点目、沿岸部保育所児童への対応は、についてお答えします。
本年3月28日に公表されました県の津波浸水想定のうち、南海トラフの巨大地震による津波浸水予測地域にある保育所は、浸水深が6メートル以上7メートル未満の予想がされている牟婁保育所を初めとし、みどり保育所、もとまち保育所、芳養保育所、扇ヶ浜保育所、わんぱく保育所、いずみ保育園の計7カ所の認可保育所がございます。
このため、消防本部や防災対策課と連携しながら、避難経路の検討及び避難場所の設定等、避難計画の見直しを図るとともに、これに基づき公立及び私立の保育所は毎月定期的に避難訓練を実施しております。
また、防災頭巾、背負いひも、避難者の配置など防災対策用品の充実に努めております。本年度につきましては、避難者の配置のほか、緊急地震速報システムの導入も予定しており、常日ごろより防災意識を持って業務に当たるとともに、より迅速で安全な避難ができるよう訓練を実施してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、ゼロ歳、1歳の自力で避難が困難な児童を初め、全ての児童が無事避難できるよう、日ごろの訓練を充実してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
(
保健福祉部長 田中 敦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 小川浩樹君。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
津波避難訓練、またその3回の啓発については、大変多くの方が参加していただけるようになってきた状況があるということは深く認識しておりますし、また高齢者、要援護者の方に訓練に参加していただきたいという町内会の思いと、いざその方たちが実際に訓練そのものに参加できるかという物理的な状況と大きなギャップがあるということもまた認識しております。
質問はいたしませんけれども、また要援護者の情報の中で、避難訓練そのものに担当を決めて、要援護者の方たちを具体的に誘うとなると、本番そのものもその健常者の方がその要援護者の方に責任を持ちますということの意思表明をしたようにとられてしまうというおそれを持っているという、いろんな複雑な思いを、実はこの津波避難訓練の設定をされた後に、真面目に取り組もうと思っている町内会であるほど、それなりに深い悩みを持ってしまうのだなということを現場を見て痛感いたしております。
とはいえ、行政とすれば工夫をしながら、マンネリ化を防ぎつつ、この訓練をやり続けるしかないという立場にあるのかなと思います。大変難しい問題ながら、これらの方たちの参加を促していく状況をぜひつくっていただけたらと、そのように思います。
それから、沿岸部保育所の児童への対応ですが、去年も質問させていただきましたが、牟婁保育所の避難の様子を昨年見せていただきました。9時に地震が発生したと想定をされて、防災無線が鳴り、ゼロ歳児、1歳児、2歳児の子供を一旦机の下にやって、何が起こったかわからない、子供たちが泣く中で、保育士の方たちがなだめて、机の下に入れ、大きな乳母車にゼロ歳児、1歳児、2歳児という、本当にゼロ歳児は首が座ったばかりと違うかというような、乳幼児を乳母車に乗せて、一気に上の山を駆け上がっていくという、あの光景は自分の心の中に忘れられないものがあります。
その後に、保育士さんたちが保育士業務そのもの以上に、いつ地震が来るかもわからずに、いざこの子どもたちを守れるかという不安が背中に大きな荷物として乗っかりながら仕事をしているというお話を聞いたときには、これはほうっておける状態を超えているなというような認識を持ちました。
統廃合議論や幼保一元化に伴って、私立幼稚園、市立幼稚園、保育所等がどのような形で進んでいくかの議論は行く行く2年後に答えが出てくると思いますが、私もかといってどうしてあげるべきという確信はありませんけれども、この不安を少しでも取り除く作業を行政にはお願いをしたいと思います。
先日、8月に先ほど安達議員の質問の答弁の中でもありましたが、5年間かけて市内の小中学校に対して防災教育を行うこととなった釜石の奇跡の片田教授の各学校の担当者に対しての講演を教育委員会に無理を言って聞かせていただきました。この片田教授の講演は本当に自分自身も大変好きで、行政に頼るなと。行政の方は楽に思うかもわかりませんが、多くの住民の方、いろんな方を目の前にしても、行政に頼るな。施設があることで安心をするなという一人ずつが心を自立させて、正しく津波災害を恐れて、正しくその地域に生きるという人をつくるしかないという、この精神論には本当に心から賛同をするところです。
今後、ハザードマップもまた新しくなりますし、いろんな施設整備などが整えられていくことになるとは思いますが、意識啓発、自分の命を自分で守って、その次に、周りの方たちを守るという意識啓発のために、津波避難訓練、行政からの啓発ということは根幹をなすべき防災の部分ではないかと強く認識いたしております。
きょうは、小中学生についての取り組みはお伺いしませんでしたが、要援護者、また自分で逃げることができない乳幼児、このあたり健常者の方も含めて、啓発についての努力を今後もよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、12番、小川浩樹君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(塚 寿雄君) この場合、2時45分まで休憩いたします。
(午後 2時32分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(塚 寿雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 2時45分)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、8番、二葉昌彦君の登壇を許可いたします。
(8番 二葉昌彦君 登壇)
○8番(二葉昌彦君) 皆さん、こんにちは。8番、二葉昌彦、一般質問をさせていただきます。
私は13年間、秋津地区の公民館長をさせていただきました。公民館では、住民が集い、学び、学ぶことを通して人々が交流し、仲間づくりをし、人を大切にする。人として大事なことを学んだように思います。当初、変わりゆく社会の中、他の地域では町内会、子供会離れが始まっていたころでした。秋津地区町内会の加入率、子供会の加入率ともに高く、非常に熱心で活動のしやすい誇れる地域でありました。しかし、公民館への若い方々の参加が少なく、それは公民館活動の一つの課題でした。そこで青年団の復活として、とんぼクラブが結成され、この団体が公民館の行動に参加協力していただいたおかげで、いろいろな行事を展開することができたように思います。
今回で7回目の開催となりました、あんどん祭りもその一つで、当初は200人余りの小さな祭りでしたが、今は2,000人を超す祭りとなりにぎわっています。また、あんどん祭りを通して、少しでも地域に貢献しようということで、中・高校生のグループ、レインボーライフというクラブもでき上がり、このクラブの活躍に今後期待しているところであります。
全公民館で開催した地域シンポジウムで出たいろいろな地域の意見、地域の課題等を参考にし、今回、質問したいと思います。
まず、これからの公民館のあり方について、公民館活動について質問させていただきます。これから起こる少子高齢化、人口減少社会に向けて今後の公民館活動についてお伺いします。
総務省の発表によりますと、日本の人口はこの1年で26万人減少、65歳以上の老年人口が3,000万人を超え、少子高齢化が加速している。さらに3大都市圏では、東京、大阪、名古屋の人口が全人口の半数を上回るという発表がありました。
このような人口減少社会を想定し、当局も10年、20年先を考え、市民を導いてくれていると考えます。しかし、私、この4月の選挙で地域を回らせていただく中、田辺市全域を回ることはできませんでした。この広い面積を保有する近畿で一番広い田辺市ですが、ますます少子高齢化が進み、地域づくりをどのようにするのか不安であります。このようなことも踏まえ、今以上に公民館のあり方、役割が重要になってくると思います。
これから第一次ベビーブームの世代が定年を迎え、第2のステージを送られます。これまでの人生で得た豊かな経験や知識、技能を生かし、地域社会へ積極的に参加していただき、子供たち、地域のために社会貢献に生かしていただく活動が大事であるように思います。
例えば、会津小学校の校区では、自主的に子ども見守り隊が発足して7年を迎えます。一日欠かさず校区に立っていただき、子供たちを見守っていただいております。見守り隊の方々から声をかけていただき、子供たちは素直にいつもありがとうございますという感謝の気持ちが育ってきているように思います。
また、見守り隊の方々と子供たちの間に信頼関係もでき、子供たちは地域で安心して、学んでいるように思います。こういうことはすぐに結果は出てきませんが、10年、20年先、きっと子供たちが地域で見守ってくれている方々に感謝するときが必ず来ると思います。
こういう活動こそが地域力を高めていく一つだと私は思います。このような団体が多く活動することにより、お互いに切磋琢磨し、地域力の向上に役立つのではないでしょうか。そうしたことから、定年を迎えた方たちが地域で活躍していただける機会を多くつくることが大切だと思います。その対応について当局の考え方をお伺いします。
続きまして、公民館の主事のあり方について御質問いたします。
私が、13年間公民館長をする中、6人の主事が地域のために活躍してくれました。しかしながら、それぞれの主事が2年で人事異動になりました。2年での人事異動は主事にとっても地域になれ、やっと地域の方々の名前と顔がわかり始めたときでもあり、私たち地域にとってもこれからの地域のことを思い、活動してくれると期待し始めたときでありますので、非常に残念に思いました。私は公民館主事はある程度の期間を地域で勤務することが望ましいと考えますが、これについて当局の見解をお伺いしたいと思います。
(8番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 8番、二葉昌彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
教育次長、濵田和男君。
(教育次長 濵田和男君 登壇)
○教育次長(濵田和男君) 議員御質問のこれからの公民館のあり方と公民館活動についてお答えします。
まず、1点目の御質問である少子高齢化、人口減少社会を見据えた今後の公民館活動についてでございますが、我が国の人口は減少の一途をたどり、少子高齢化が急速に進む中、ここ田辺市でも平成25年3月現在の老年人口が2万2,862人、全体の28.5%を占め、年々高齢化が進んでいる状況でございます。特に、旧町村においては、その傾向が顕著であるとともに、広大な市域であることから、議員御指摘の将来の地域づくりのためには、各地域にある公民館に寄せられる期待は大きいものと認識しているところでございます。
こうした中、田辺市教育委員会では、平成20年に策定した田辺市生涯学習推進計画の中で、公民館を地域づくりの拠点と位置づけるとともに、各地域の公民館においては、平成25年から平成29年までの5年間の地域生涯学習計画を策定し、地域課題の解決と果たすべき公民館の役割を明確にした取り組みを進めているところでございます。
また、議員御指摘のとおり、今後団塊の世代の方々が公民館活動に積極的に参加され、その豊富な知識や経験を地域づくりに生かしていただけることが、大変重要であると認識していることから、各地域の公民館の状況に応じて、活躍していただける機会の場の設定について、検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りたいと思います。
そして、2点目の公民館主事のあり方についてですが、地域力を高め、地域が活性化していくためには、公民館長及び公民館主事の力量や経験によるところが大きいのも事実です。そういった中、議員御指摘のとおり、公民館主事におきましては、ある程度の期間、その地域で従事していくことが望ましいことは理解しているところでございます。
しかしながら、市職員である主事の人事配置については、適材適所ということも十分踏まえながら行っているということを御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(教育次長 濵田和男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 二葉昌彦君。
(8番 二葉昌彦君 登壇)
○8番(二葉昌彦君) 答弁、どうもありがとうございました。これからますます始まってくる人口減少、高齢化社会が進んでいく中で、地域の維持、管理が難しくなり、地域間を超えた助け合いが必要になってくると思います。地域間の信頼関係をつくるには時間がかかります。早急に地域を超えた活動に取り組み、今後の人口減少、高齢化社会に備えていただきたいと思います。
主事の地域を思う姿勢いかんによって公民館は変わると思います。地域住民が何を学習したいのか。どんなことをやってほしいのか。住民の要望を聞くために、積極的に住民の中に入っていき、さまざまな住民と対話して、地域の向上のため、活躍をお願いしたいと思います。また、地域の課題は地域の人間が一番よくわかることから、子供からお年寄りまでの3世代のことを思い、地域で活躍してくれる地域を元気に、やる気に、活気を与えるためにも、民間の力も必要であるように思います。
モデル的に地域から公民館活動を担う公民館長や主事の支えになる地域の人材を臨時職員として採用し、地域活性化の今後の試みにしてはどうかと提言させていただきます。
引き続いて、公民館施設について質問させていただきます。
避難施設としての耐震、避難設備について、お伺いします。公民館は今、一年を通じて地域の子供からお年寄りまで3世代が利用し、ともに学び、集い、仲間づくりと地域での拠点となっています。公民館といえば、避難先として皆さんも周知されているところです。そこで田辺市公民館、分館も含め、現在の公民館としての耐震率と多くの方が避難したときの避難時に必要な物資の確保についてお聞きします。
そして、公民館施設のバリアフリー対策と老朽化した施設の今後のあり方についてあわせてお聞きしたいと思います。秋津公民館においても、高齢者の方々の参加が多く、活発に活動しています。自主的に集まり、ペタンク等、楽しく活動しているのですが、何分足腰が弱り、2階へは上がれないと活動から遠ざかっている人もおります。また、文化祭の折、足の不自由な方が夕方来られ、階段をはって、2階の会場まで来てくれたこともあります。
そこで、田辺市公民館のバリアフリー対策について考え方をお伺いします。
また、秋津公民館では、お年寄りから子供の3世代が参加し、活発に活動しております。しかしながら、秋津公民館の施設も古くなり、2階の天井はつり天井で、また避難施設としての耐震もされていない状態であります。これで大丈夫なのか不安になります。せめて安心・安全に使用できるように耐震設備を早急にしていただくことをお願いしたいと思います。
このように、秋津公民館だけでなく、老朽化した公民館施設が多くあるように思います。当局として、今後の公民館施設のあり方についてお伺いします。
(8番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 教育次長。
(教育次長 濵田和男君 登壇)
○教育次長(濵田和男君) 御質問の2点目、公民館施設についてお答え申し上げます。
まず、1点目の避難施設としての耐震化と設備についてでございますが、現存の公民館におきましては、新しい耐震基準になった昭和56年以前に建設された建物は、旧田辺市内において、地区公民館として位置づけられている中で、16件中4件、龍神、中辺路、大塔、本宮地域において、分館として位置づけられている中で、18件中9件が耐震診断が必要な建物と考えられます。
いずれの地域におきましても、木造では昭和20年代から30年代、RCづくりでは、昭和50年代に建築された建物が多く、老朽化が進んでいる現状となっております。
また、避難時における物資の備蓄状況についてでありますが、市では、当初平成19年から20年間をかけて食料や毛布などの災害用物資の備蓄を完了する計画でございましたが、一昨年の東日本大震災の後、備蓄計画を見直し、予算の増額とともに、計画年数を半減し、平成29年度までに備蓄を完了させることといたしました。
備蓄場所につきましては、各施設とも備蓄スペースが不足していることもあり、主に各学校等の空き教室などを活用し、分散して備蓄している状況でございます。さらに、今後は、沿岸部や旧町村部への支援拠点の必要性から、紀の国わかやま国体に向け整備中の三四六総合運動公園と新庄町に新築移転する消防庁舎の敷地内に、防災倉庫を設置する予定でございますが、指定避難施設のうちで、備蓄スペースの確保が可能な施設については、物資の備蓄について検討してまいりたいと考えております。
2点目の公民館のバリアフリー化についてと、3点目の老朽化した施設の今後のあり方についてでありますが、公民館は地域住民の最も身近な生涯学習施設であり、人々が公民館活動を通じて交流し、地域づくりの拠点となる施設であります。したがって、いつでも誰でも利用でき、気軽に訪れることができる施設であるのが本来の姿であるという認識はしておりますが、現実的に、バリアフリー化ができていない施設や、老朽化が進んでいる施設が多くあります。
そうした中、市といたしましては、現在、学校施設の耐震化をまず優先的に進めておりますが、公民館につきましても、市民の生命を守る施設として安全を確保することも重要な課題として認識しておりますので、今後は耐震化やバリアフリー化も十分検討し、地域の皆様方と協議を重ねながら取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いいたします。
(教育次長 濵田和男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 二葉昌彦君。
(8番 二葉昌彦君 登壇)
○8番(二葉昌彦君) 答弁、ありがとうございます。生涯学習の場として、公民館には幼児からお年寄りまで多くの人が集い、活動しております。また、公民館は地域づくりの拠点になる施設であり、地域住民の命を守る避難場所であります。田辺市全体で考えますと、相当な施設が建てかえや大規模修繕の必要があるように思います。財政面を考えますと、全てが新しい施設とはなかなかいかないように思いますが、今の時代に合った使いやすい施設、安心して学べる施設をリフォーム等も考え、住民の命を守るためにも早急に対応を考えていただくことを提言させていただきたいと思います。
続いて、3番目、若者が安心して住み、生活できる対策についてお伺いします。
人口減少に伴う若者の定住について、私たちの若いころには、終身雇用があり、どうにかなると余り先のことまで深く考えなかったように思いますが、今の若い方々はどうでしょう。終身雇用も崩れ、給料も安く、地方には働く場所もない。これからますます進む高齢化社会、若者への負担も増すばかり、将来への不安も重なり、自分の生活で精いっぱいのように感じます。いろいろ先のことを考えることにより、結婚もおのずと遠ざかっていきます。若い方々が最小限一生懸命頑張って生きていれば、給料が安くても、安心して結婚でき、子供を産み、子育てしていけるように、田辺市も協力して若い方々に安心感を与えることができる対策、田舎で生活していける対策、例えば田辺市に移住、結婚した方に市営住宅等住まいの補助、幼児から義務教育の間は、医療費の無料等、安心感を与えるモデル政策が必要であると思います。
当局においても、対策はとられていると思いますが、若者にとって魅力のある、思い切った対策をとっていただきたいと思います。
当局の若者対策についてお伺いします。
(8番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員御質問の若者が安心して住み、生活ができる対策についてお答えいたします。
まず、本市の人口の推移についてでありますが、議員からの御質問もありましたように、日本の総人口が減少に転じている中で、本市の人口につきましても、減少しており、平成22年の国勢調査の結果によりますと、本市の人口は7万9,119人となり、平成17年度当時と比べ、3,380人減少しております。
また、このうち15歳から64歳までのいわゆる生産年齢人口の割合につきましては、65歳以上の人口割合が2.6ポイント増加しているのに対して、1.8ポイントの減少となっております。
こうした中、本市におきましては、少しでも若年層を中心とした人口減少に歯どめをかけ、まちの活力を維持していくためにも、さらなる交流人口の増加を図るためのさまざまな取り組みを進めるとともに、安心して子供を産み、育てることができるまちづくりを目指して、鋭意取り組んでいるところでございます。
具体的な取り組みといたしましては、みんなで子育て応援プログラムを策定し、このプログラムに基づき、出産支援を初め、子供の健康増進や就学環境の充実など、出産前から高等学校卒業までの間、各段階に応じて負担の軽減や不安の解消を図るための取り組みなどを実施しており、特に、この9月からはこれまで実施していた乳幼児医療費助成制度を見直し、新たに子ども医療費として、入院時に限ってではありますが、12歳到達後の最初の年度末まで医療費の助成を行うなど支給対象範囲の拡大を図っているところでございます。
また、新たな雇用の創出に向けた企業誘致が非常に難しい状況の中、基幹産業である農林水産業について、地域ブランド等の取り組みをさらに強化していくほか、本市が有する豊かな地域資源を生かした質の高い観光振興を推進し、商工業も含めた産業全体の活性化を図ることで、少しでも雇用の確保につなげていくよう取り組んでいるところでございます。
いずれにいたしましても、近年、都市部の若者を中心に価値観が多様化している傾向がある中で、市街地を初め、農村、漁村、山村の各地域が持つまちのよさを生かしつつ、農林水産業を初めとする産業と暮らしを結びつける取り組みも進めながら、引き続き、交流人口の拡大を通して、定住を促進するとともに、若い世代の方々が本市に定住していただけるようなさまざまな取り組みを展開し、定住によるコミュニティーの維持・活性化についてもあわせて取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 二葉昌彦君。
(8番 二葉昌彦君 登壇)
○8番(二葉昌彦君) 答弁ありがとうございます。今回大きなテーマで質問させていただきました。若者対策は田辺市だけではなく、全国市町村の大きな課題の一つであると思います。若者の流失により、地域力の低下、地域産業の衰退、税収の減少、若者がいない高齢者のまちなど、負のスパイラルを引き起こしています。現状のままでは人口増加は考えられません。一人でも若者流出を防ぎ、地域に残る若者に魅力のある施策を考えていただきたいと思います。
引き続いて、4番、学校での子供の様子と特別支援教育支援員についてお伺いします。
特別支援教育支援員の増員と配置、待遇について。私は30数年書道を通して、子供とかかわってきております。随分、子供の様子が変わってきました。座り方、姿勢、鉛筆の持ち方、昔は普通にできていたことが今はできる子供さんが少なくなりました。鉛筆の持ち方が悪いのは、おはしがきちんと持てていないからです。日本人は、手の器用さで、いろいろな物づくりをしてきたように思いますが、不器用な子供さんが多くなりました。
また、以前は、書道教室を私一人で30人近く教えることができましたが、しかし、最近は落ちついて座れない子供さんが多く、さまざまな子供さんが多くなってきているように思います。今は、手助けがないとやっていけないようになりました。このようなことから、学校の先生も大変御苦労なさっている様子が目に浮かびます。どのようにして、30人近い子供と向き合って教えているのか、一度見学にいきたいと思うくらいです。
そこで、まず、学校での子供たちの状況について、どのような様子であるのか教えていただきたいと思います。
次に、特別支援教育支援員のことをお聞きしました。このことを聞いたときに、これで学校の先生も授業がしやすくなると思いました。そこで、現在の支援員の配置状況をお聞かせください。また、学校の事情により、支援員の増員や勤務時間の延長が必要な学校があるのではないかと思われます。そこで、今後の支援員の配置について教育委員会としての見解をお聞きしたいと思います。
(8番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 教育長、中村久仁生君。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 二葉議員御質問の4点目、児童の学校生活における現状と特別支援教育支援員についてお答えいたします。
まず、児童の学校生活の様子についてでありますが、議員御指摘のように、学校においては、集中力が続かず、落ちついて学習や活動に取り組むことができないなどの学習面での困難を示す児童。それから対人関係を築くことが難しいなどの行動面で困難を示す児童。学習面、行動面の双方で困難を示す児童など、実態はさまざまでございます。
特別に、教育的支援が必要な児童生徒が在籍しているという現状があります。教育委員会では、毎年調査を行い、通常学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の現状を把握してございます。
本年度の調査では、小学校で162名、中学校で43名の児童生徒の報告を受けており、その割合は全体の約3%となっております。学校教育法には、これらの児童生徒に対して、生活や学習上の困難を改善、または克服するための適切な指導や必要な支援を行うよう、明記されております。
田辺市としましても、現在、特別支援教育の充実のために、特別支援教育支援員を配置するとともに、支援員の資質向上を図るための研修を実施しているところでございます。
次に、特別支援教育支援員の配置状況でありますが、現在、小学校15校、幼稚園2園に計28名の支援員を配置してございます。支援員の勤務時間は、子供の実態によって異なりますが、1日4時間勤務の支援員が大半を占めてございます。その役割としましては、日常生活上の介助、発達障害の児童生徒に対する学習支援、児童生徒の健康・安全確保、周囲の児童生徒への障害の理解促進等学校の実態に応じてさまざまな役割を担っております。
支援員の増員につきましては、毎年児童生徒の実態を踏まえながら、増員をしたり、支援する時間をふやしたりしながら、各学校と共通理解を図りながら対応をしているところでございます。
また、特別な教育的支援を必要とする子供たちの中には、学級担任の指導の工夫や配慮の中で、また校内の支援体制の中で安心して学校生活を送り、成長している子供たちもたくさんおります。支援員の配置につきましては、今後も学校と連携を図りながら、一人一人の教育的ニーズを十分把握し、児童生徒の自立や社会参加を支援するという観点に立って、適切な支援員の配置となるよう、努力をしてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 二葉昌彦君。
(8番 二葉昌彦君 登壇)
○8番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。子供の様子が変わってきている中で、支援員の役割が今以上に必要になってくると思います。4時間勤務の方が多いようで、支援員の方が抜けた後の学校の対応が大変なように感じます。支援員を配置している学校の様子を調べていただき、先生の負担も軽くなるように、勤務時間をふやす等、今後支援員の増員をお願いしたいと思います。
続きまして、携帯電話についてお伺いします。
児童生徒の携帯電話、スマートフォンの普及による児童生徒に及ぼす影響についてお聞きします。
現在、家庭の仕事等の都合で、連絡、安全確認のために携帯電話を早くから持たせる家がふえてきているようです。小中学校においては、携帯電話の持ち込みについてはもちろん禁止されていることと思います。しかし、中学校においては4~5割の方、高校生においては大半の生徒が所有しているように聞きます。そこで、実際のところ、児童生徒への携帯電話などの情報通信端末の普及の状況はどのようなものかお聞きしたいと思います。
また、ラインやフェイスブック、ゲームなどのいわゆる携帯通信端末を通したソーシャルネットワークサービスを利用することから起こるトラブルがニュースでも取り上げられています。田辺市でもそのようなトラブルが発生していないのか、お聞きしたいと思います。
あわせて、人間は誰でも楽しいこと、興味のあることに流される傾向があります。子供たちの様子を見ますと、まさにこういった情報通信端末に流されるように見え、学生の本分である学業等への影響がないのか心配するところであります。このことについても、悪影響等ないのかお尋ねしたいと思います。
続いて、教育委員会としての今後の取り組みについてお伺いします。
今後こういった情報通信端末の普及がまだまだ進んでいくと思います。また、普及に伴って、端末の多機能化がさらに進み、さまざまなアプリなど、ソフトウエアも開発されてくることと思います。そうなると、もちろん悪影響を及ぼすソフトウエアも多くなることと思います。使い方によっては、さらに子供の安全を脅かす危険性もあるように感じます。
しかし、ここまで普及してくると、使用を禁止するということは不可能なように思います。そこで、今後はそういった悪影響を及ぼすソフトウエアの監視や、使い方のルールづくり等、学校、家庭、社会で情報機器を有効に活用できるように取り組んでいく必要があると考えます。教育委員会としての今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
(8番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 教育長。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 議員御質問の児童生徒の携帯電話の使用についてお答えいたします。
まず、児童生徒への携帯電話等情報通信端末の普及の状況でございますが、今年度の田辺市教育委員会の調査では、児童生徒の携帯電話の所持率は、小学校低学年、1年生から3年生では25%、高学年、4年生から6年生では27%、中学校では27%となってございます。また、パソコンの所持率が、小学校低学年では3%、高学年では5%、中学校では12%、携帯ゲーム機の所持率では、小学校低学年では63%、高学年では85%、中学校では77%となってございます。
また、持っていないが家族のものを自由に使える児童も含めますと、携帯電話では、小学校低学年では37%、高学年では46%、中学校では42%、パソコンは小学校低学年では33%、高学年では59%、中学校では74%となってございます。
次に、議員御指摘のように、ネット依存やネットいじめなど、情報通信端末利用による影響についてでありますが、昨今、ニュースなどによってネットいじめやそれに関連した問題などが報道され、確かに心配されているところであります。
一方、田辺市では、平成25年度全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙によりますと、情報通信端末の使い方について、家の人と約束をしたことを守っているかという項目について、所持している児童生徒の中では、小学校では82.6%、中学校では73.1%が守っていると答えてございます。これは全国平均とほぼ同じ傾向にあります。
また、家族と夕食を食べるでは、小学生では75%、中学生では68%、家で学校の宿題をするでは、小学生は91%、中学生は80%、これらはどちらも全国平均に比べて非常に高い傾向にあります。さらに、就寝時刻についても、小学校では10時までに就寝する児童の割合、中学校では11時までに就寝する生徒の割合が、全国に比べて高いという傾向もございます。
しかし中には、情報通信端末を通したソーシャルネットワークサービスの利用によるトラブルは、和歌山県教育委員会のネットパトロールで把握した情報のうち、田辺市の児童生徒にかかわるものについては、平成23年から24年の2年間で18件の連絡がございました。学校と連携を図りながら対応しましたが、内容は氏名や写真などをプロフィールサイトに載せるという個人情報の公開に当たるものが10件、他人の誹謗中傷に当たるものが8件でありました。また、情報通信端末の1日の使用時間については、学年が上がるごとにふえ、中学校では1日3時間以上使用している生徒が約25%存在しております。これらのことから、今後も児童生徒の実態を把握し、指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
次に、教育委員会の今後の取り組みについてでありますが、田辺市では、各学校で情報教育を教育活動の中に位置づけ、児童生徒の発達段階に応じて計画的に情報モラル向上に取り組んでいるところであります。
さらに、和歌山県情報セキュリティー研究所や青少年センター等の関係機関によるネットパトロールや、出前講座を活用して、児童生徒や保護者も含んだ情報通信端末の正しい使い方や情報モラルについて指導を進めてございます。
加えて、教科、領域の中でも、インターネットを活用した調査活動や、プレゼンテーションソフトを利用した言語表現活動などを展開し、いわゆる情報通信端末のよい側面にも迫り、正しい使い方が児童生徒にもできるような指導を行っているところでございます。
教育委員会といたしましても、これらの取り組みをさらに充実させて、展開してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 二葉昌彦君。
(8番 二葉昌彦君 登壇)
○8番(二葉昌彦君) 御答弁ありがとうございます。小学校の低学年の所持率が高かったのに驚きました。携帯、パソコンの普及はますます進んでいくと思います。所持率が高くなると、トラブルもふえ、子供の安全を脅かす危険性も高くなると思います。これからは連絡、遊びだけの携帯だけではなく、正しい使い方、自分のためになる使い方の指導も必要であるように思います。学校、社会、家庭で児童生徒の携帯の使用について話し合う機会を持っていただき、子供たちの安全・安心のための対策をお願いしたいと思います。
これで質問を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。今回、五つの質問で、時間配分に非常に苦労したのですが、ちょっと早く終わりました。それは次回の課題として残しておきたいと思います。これから皆さんとともに田辺市発展のために、また未来に誇れるまちづくりの一員として頑張ってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございました。
(8番 二葉昌彦君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、8番、二葉昌彦君の一般質問は終了いたしました。
◎日程第 2 4定議案第18号
工事請負契約の締結についてから
日程第20 4定議案第36号 平成24年度田辺市
水道事業会計利益の処分及び決算
についてまで一括上程
○議長(塚 寿雄君) 続いて、日程第2 4定議案第18号
工事請負契約の締結についてから、日程第20 4定議案第36号 平成24年度田辺市
水道事業会計利益の処分及び決算についてまで、以上19件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました議案19件は、本日、市長から提出のあったものであります。
提出者の説明を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) ただいま上程されました議案は、決算に関するもの18件、その他1件でございまして、その概要について御説明申し上げます。
議案第18号
工事請負契約の締結については、尾の崎排水ポンプ設置
工事請負契約の締結について、田辺市議会の議決に付さなければならない契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定により、議会の議決をお願いするものです。
内容につきましては、工事名は尾の崎排水ポンプ設置工事、契約の方法は指名競争入札、応札者数は9社、入札年月日は平成25年8月20日、契約金額は1億3,224万7,500円、契約の相手方は、株式会社石垣大阪支店、支店長、柳澤健司氏です。
なお、工事概要等につきましては、別紙参考資料を御参照願います。
議案第19号 平成24年度田辺市
一般会計歳入歳出決算についてから、議案第35号 平成24年度田辺市四村川財産区
特別会計歳入歳出決算についてまでの17議案は、いずれも平成24年度各種会計の決算につきまして、地方自治法の規定により議会の認定をお願いするもので、議案第36号 平成24年度田辺市
水道事業会計利益の処分及び決算については、平成24年度田辺市水道事業会計の決算に伴う利益を処分することについて、地方公営企業法の規定により議会の議決をお願いするとともに、当該会計の決算につきまして、議会の認定をお願いするものであります。
なお、お手元に、決算書及び監査委員の意見書とともに、主な施策の成果に関する報告書等を提出いたしております。
以上、提案いたしました議案について御説明申し上げましたが、よろしく御審議の上、御承認を賜りますようお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上をもって、提出者の説明が終了いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております19件については、既に提出されている他の議案と同様に、後日審議願うことにいたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
お諮りいたします。
本日の会議は、この辺にとどめ延会し、明9月14日から9月16日までの3日間は休会とし、9月17日午前10時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
延 会
○議長(塚 寿雄君) それでは、本日はこれをもって延会いたします。
(午後 3時27分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
平成25年9月13日
議 長 塚 寿 雄
副議長 山 口 進
議 員 尾 花 功
議 員 二 葉 昌 彦
議 員 市 橋 宗 行...